「就労継続支援B型は自宅から利用できる?」「体調のため毎日通うのが難しいけれど、在宅で作業することはできない?」と考えている方もいるのではないでしょうか。
就労継続支援B型では、一定の要件を満たし、市区町村が在宅でのサービス利用による支援効果が認められると判断した場合に、在宅で支援を受けられることがあります。
ただし、「通所したくないから在宅にする」「自宅で一人で作業すればB型を利用したことになる」という仕組みではありません。在宅利用であっても、事業所による作業の提供、連絡や助言、進捗確認、相談対応、緊急時の支援、支援記録などが必要です。
また、在宅利用の支給決定や必要な手続きは自治体によって取扱いが異なる場合があります。この記事では、就労継続支援B型の在宅利用の仕組み、対象となる考え方、申請、在宅作業、工賃、支援内容、利用前の確認ポイントまで分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 就労継続支援B型を在宅で利用できる条件
- 在宅利用を始めるまでの手続き
- 自宅でできる作業と職員から受ける支援
- 在宅利用でも工賃を受け取れるのか
- 令和8年以降に確認したい在宅支援の取扱い
目次
1.就労継続支援B型は在宅利用できる?
就労継続支援B型は、一定の要件を満たした場合に在宅で利用できることがあります。
就労継続支援B型は、一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に、生産活動などの機会と就労に必要な知識・能力を高めるための支援を提供する障害福祉サービスです。
通常は事業所に通所して、職員から直接支援を受けながら作業などに取り組みます。一方、本人の状況などを踏まえ、市区町村が在宅でのサービス利用による支援効果が認められると判断した場合には、在宅利用が認められることがあります。
重要なのは、「自宅で作業できるか」だけではなく、「在宅という方法でB型の支援を行うことが本人にとって適切か」という点です。
1-1.在宅利用が認められる考え方
在宅利用は、本人が希望しただけで自動的に認められるものではありません。
厚生労働省の留意事項では、在宅でのサービス利用を希望する方について、在宅利用による支援効果が認められると市町村が判断し、さらに事業所が定められた支援要件を満たす場合に報酬を算定する仕組みが示されています。
そのため、本人の状態、通所の状況、在宅で取り組む内容、事業所がどのように支援するのかなどを確認して判断されます。
体調や障害特性などから通所に負担がある場合でも、それだけで在宅利用が決まるわけではありません。在宅で支援することによって、本人の就労に必要な知識や能力の向上などにつながるかを考える必要があります。
1-2.誰でも在宅利用できるわけではない
「外出するのが面倒だから」「自宅の方が楽だから」という希望だけで、必ず在宅利用できるわけではありません。
市区町村による支給決定に加え、B型事業所側にも在宅利用者を支援できる体制が必要です。
在宅で取り組める作業を継続的に用意できること、職員が連絡や助言を行えること、作業中に困った場合に相談できること、緊急時に対応できることなどを確認します。
そのため、現在利用しているB型事業所が在宅支援を行っていない場合は、本人が希望していても、その事業所で在宅利用できるとは限りません。
1-3.自治体によって取扱いが異なる
在宅利用については、国の要件に加えて、自治体が申請方法や支給決定の基準、必要書類などを定めている場合があります。
たとえば東大阪市では、令和8年7月1日から就労継続支援B型について通所利用を原則とし、在宅利用を例外的な取扱いとして独自の支給決定基準を設けています。
これは東大阪市の取扱いであり、全国の自治体で同じ基準がそのまま適用されるという意味ではありません。
大阪市を含め、実際に利用する自治体の最新情報を確認することが大切です。
ポイント
B型の在宅利用は「在宅勤務を希望すれば選べるコース」ではありません。本人にとって在宅で支援する効果があるか、市区町村や事業所と確認しながら進めます。

2.在宅利用を始めるまでの流れ
就労継続支援B型の在宅利用を考えたら、まず現在の状況と在宅利用を希望する理由を整理して相談します。
すでにB型を利用している方と、これから新しくB型を利用する方では手続きが異なる場合があります。
2-1.まず相談する
最初の相談先として、市区町村の障害福祉窓口、相談支援専門員、利用中または利用を検討しているB型事業所などがあります。
すでに通所している場合は、「最近通所が難しくなっている」「体調によって外出できない日が増えている」など、現在の状況を事業所へ伝えます。
新しくB型を利用する場合は、事業所を見学するときに在宅支援へ対応しているか確認してください。
すべてのB型事業所が在宅支援に対応しているわけではありません。
2-2.在宅利用の必要性を確認する
相談するときは、「在宅利用したい」という希望だけでなく、なぜ在宅利用を希望しているのかを具体的に整理します。
- 現在どのくらい通所できているか
- 通所するときにどのような負担があるか
- 在宅ならどのような作業に取り組めそうか
- 1日にどのくらい作業できそうか
- 職員との連絡方法は何が使えるか
- 将来的にどのような働き方を希望しているか
こうした情報をもとに、在宅で支援を行うことが本人に合っているかを検討します。
2-3.支援方法を計画に反映する
在宅利用を行う場合は、事業所の個別支援計画などに在宅で行う支援の目的や方法を位置づけます。
たとえば、在宅で取り組む仕事内容、1日の作業時間、職員と連絡する方法、進捗確認の方法、成果物の提出方法、体調が悪化した場合の対応などを決めます。
相談支援を利用している場合は、必要に応じてサービス等利用計画との整合も確認します。
だいこん畑では計画相談支援も行っています。利用方法に迷う場合は、相談支援専門員へ相談する方法もあります。
3.在宅でもどんな支援を受ける?
B型の在宅利用は、自宅へ仕事を持ち帰って一人で作業するだけの仕組みではありません。
在宅であっても、B型事業所が継続して本人へ支援を提供します。
3-1.職員から定期的な支援を受ける
厚生労働省の留意事項では、在宅利用者への支援として、1日2回の連絡、助言、進捗状況の確認などを行い、日報を作成することなどが示されています。
たとえば、作業開始時に体調や当日の作業内容を確認し、終了時に作業の進み具合や体調を確認する方法があります。
作業内容や本人の希望などによっては、それ以外の時間にも連絡や相談対応を行います。
電話、オンライン、メッセージなど、実際の連絡方法は事業所の支援体制などによって異なります。
3-2.困ったときに相談できる体制
在宅作業中に「作業方法が分からない」「パソコンが動かなくなった」「体調が悪くなった」といったことが起こる場合があります。
そのため、疑問が生じたときに職員へ相談できる体制を整えておく必要があります。
また、事故、体調の急変、災害などが起きた場合に、事業所がどのように対応するのかも事前に決めておきます。
単にオンラインで連絡できるだけでなく、緊急時に実際に必要な対応を取れる体制があることも重要です。
3-3.支援内容を記録する
在宅支援を行った日は、どのような支援を行ったのかを記録します。
記録する内容として、作業内容、作業時間、本人の体調、職員から行った助言、進捗状況、本人からの相談内容、成果物の状況などがあります。
記録は、単に報酬を請求するためだけのものではありません。
在宅利用が本人に合っているか、作業量が多すぎないか、生活リズムが崩れていないか、支援方法を変更する必要がないかを確認する材料にもなります。
在宅でも支援は必要
自宅で作業をしたという事実だけでは、B型の在宅支援とはいえません。作業の提供とともに、職員による連絡、助言、相談対応、進捗確認などの支援が必要です。
4.B型の在宅ではどんな仕事をする?
B型の在宅作業は事業所によって異なります。
「B型の在宅利用=パソコン作業」と決まっているわけではありません。事業所が行っている生産活動や本人の得意なこと、自宅環境などを踏まえて仕事内容を決めます。
4-1.パソコンを使った在宅作業
パソコンを使う在宅作業としては、事業所によって次のような仕事を行うことがあります。
- データ入力
- 商品情報の入力
- 画像加工
- ネット販売の補助
- 商品の出品作業
- 簡単な文書作成
ただし、すべての事業所でこれらの仕事を提供しているわけではありません。
パソコンやインターネット環境を本人が用意するのか、事業所から機器を貸し出すのかについても確認が必要です。
4-2.自宅でできる軽作業
パソコンを使わなくても、自宅へ作業物を持ち帰って取り組める場合があります。
たとえば、封入、シール貼り、袋詰め、部品の組み立て、手芸など、自宅でも安全に取り組める作業があります。
この場合は、材料や作業物をどのように自宅へ届けるのか、完成したものをどう回収するのか、不良品が出た場合にどうするのかまで決めておく必要があります。
刃物や危険物を使用するなど、自宅で安全に行うことが難しい作業は在宅作業に向かない場合があります。
4-3.作業だけできればよいわけではない
在宅支援で重要なのは、単に商品を完成させたり、作業量を増やしたりすることだけではありません。
B型は、就労の機会を提供するとともに、生産活動などを通じて就労に必要な知識や能力の向上を支援するサービスです。
たとえば、作業開始時間を決める、分からないときに質問する、終了時に報告する、納期を確認するなども、働くために必要な経験になります。
在宅利用でも、こうした支援目的を意識して作業内容を設定する必要があります。
5.在宅利用でも工賃はもらえる?
就労継続支援B型では、在宅利用であっても、生産活動に取り組んだ場合は事業所の工賃規程などに基づいて工賃が支払われます。
ただし、在宅利用だから特別な工賃額になる、全国一律の在宅工賃がある、という仕組みではありません。
B型の工賃は、事業所の生産活動や工賃規程などによって異なります。
また、作業日数、作業時間、作業量などが工賃に影響する場合もあります。
在宅利用を始める前に、「どのような作業をするのか」「工賃はどのように計算されるのか」「作業ができなかった日はどうなるのか」を確認しておくと安心です。

6.在宅利用のメリットと注意点
在宅利用には、通所とは異なる良さがあります。一方、自宅だからこそ起こりやすい課題もあります。
「在宅なら楽だから」という理由だけで選ぶのではなく、自分に合う利用方法かを確認しましょう。
6-1.在宅利用のメリット
在宅利用では、通所のための移動がありません。
移動による身体的な負担が大きい方や、外出することで強く疲れてしまう方にとっては、自宅で取り組めることが一つのメリットになります。
また、人の多い場所では集中しにくい方でも、自宅の落ち着いた環境であれば作業しやすい場合があります。
体調に合わせながら作業する経験を積み、将来的な在宅就労へつなげる目的で利用することも考えられます。
6-2.在宅だからこその注意点
在宅では、職員や他の利用者と直接顔を合わせる機会が少なくなります。
一人で過ごす時間が長くなり、孤立感が強くなる方もいます。
また、自宅では仕事と休憩の区切りがつきにくく、朝起きる時間や作業開始時間が少しずつ遅くなることもあります。
そのような場合は、開始時刻を決める、作業前後に職員へ連絡する、一定の日に通所するなど、生活リズムを維持する方法を一緒に考えます。
在宅か通所かのどちらか一方に固定するのではなく、本人の状態に応じて利用方法を見直していくことも大切です。
7.在宅対応のB型事業所を選ぶ方法
在宅対応のB型事業所を探すときは、「在宅利用できます」という情報だけで決めないことが大切です。
どのような支援を受けられるのかまで確認しましょう。
- どのような在宅作業があるか
- 作業は継続的に確保されているか
- 職員とはどのように連絡するか
- 作業が分からないときに相談できるか
- 体調不良時はどう対応するか
- 成果物はどのように提出するか
- パソコンなどの機器は必要か
- 工賃をどのように計算するか
- 必要に応じて通所もできるか
また、在宅利用を始めた後も定期的に支援内容を確認してくれる事業所かどうかも重要です。
最初は在宅利用が合っていても、体調や生活状況が変われば、通所を増やした方がよい場合があります。
反対に、通所中心で利用していた方が体調を崩し、一時的に在宅利用を検討する場合もあります。
利用方法を固定せず、本人の状態を見ながら相談できる事業所を選びましょう。

8.令和8年以降の在宅支援の取扱い
令和8年に入り、就労系障害福祉サービスの在宅支援については、適切な支援が実際に行われているかを改めて確認する動きが強まっています。
厚生労働省は、在宅支援の中に、就労支援の生産活動として適切とはいえない可能性がある活動や、就労に必要な知識・能力の向上に寄与しない自習を行わせるなど、支援の実態が認められにくい事例が見られるとして注意を促しています。
そのため、事業所には、在宅で何をするかだけでなく、その活動がどのような就労支援につながるのかを説明できることが求められます。
また、緊急時にどのように対応するか、日々どのような連絡・助言を行っているか、本人の状況をどのように確認しているかといった支援体制も重要です。
厚生労働省は、在宅支援について令和9年度障害福祉サービス等報酬改定で見直しを行うことも検討しています。
今後制度や取扱いが変わる可能性があるため、在宅利用を行っている方や事業所は、厚生労働省と自治体の最新情報を確認してください。
自治体の最新情報を確認
在宅利用の支給決定基準や必要書類、報告方法などは自治体によって異なる場合があります。利用する地域の障害福祉担当窓口や事業所へ最新の取扱いを確認してください。
9.B型の在宅利用でよくある質問
Q.希望すれば誰でもB型を在宅利用できますか?
いいえ。本人が希望するだけで必ず在宅利用できるわけではありません。
本人の状況、在宅による支援効果、事業所の支援体制などを確認し、市区町村による判断が必要です。
Q.一度も通所せず在宅だけで利用できますか?
自治体の支給決定や本人の状況、事業所の支援方法によって異なります。
在宅利用が認められたとしても、本人の状態を直接確認するために通所や訪問などが必要になる場合があります。具体的な取扱いは利用する自治体と事業所へ確認してください。
Q.在宅でも職員と毎日連絡しますか?
在宅利用では、事業所から継続的な支援を受けます。
国の留意事項では、在宅利用者について1日2回の連絡、助言、進捗状況の確認などを行い、日報を作成することなどが示されています。
Q.在宅利用でも工賃は支払われますか?
生産活動に取り組んだ場合は、事業所の工賃規程などに基づいて工賃が支払われます。
具体的な金額や計算方法は事業所によって異なるため、利用前に確認してください。
Q.パソコンがないと在宅利用できませんか?
必ずしもパソコンが必要とは限りません。
事業所によっては、封入、シール貼り、袋詰めなどの軽作業を在宅で行っている場合があります。また、パソコンなどを貸し出している事業所もあります。
Q.体調が悪い日でも作業しないといけませんか?
体調が悪い場合は、無理に作業を続けるのではなく、まず事業所へ連絡して相談します。
在宅利用だから体調不良でも必ず作業しなければならないというものではありません。本人の状態に応じて作業量や支援方法を調整します。
Q.大阪市でもB型を在宅利用できますか?
在宅利用の可否は、本人の状況や支援の必要性、事業所の支援体制などを踏まえて個別に確認する必要があります。
大阪市で利用を検討している場合は、区役所の障害福祉担当、相談支援専門員、在宅支援に対応するB型事業所へ相談してください。
まとめ|在宅でも事業所の支援が必要
就労継続支援B型は、一定の要件を満たし、市区町村が認めた場合に在宅で利用できることがあります。
- B型は一定の条件を満たせば在宅利用できる場合がある
- 本人の希望だけで在宅利用が決まるわけではない
- 市区町村による支給決定が必要
- 在宅対応できるB型事業所を利用する必要がある
- 在宅でも職員による連絡や助言などの支援を受ける
- パソコン作業だけでなく軽作業を行う場合もある
- 生産活動に取り組んだ場合は工賃の対象になる
- 自治体によって申請方法や取扱いが異なる場合がある
在宅利用の目的は、単に「家から出なくてもよくすること」ではありません。在宅という方法を使いながら、本人が働く経験を続け、必要な知識や能力を身につけていくための支援です。
在宅利用が合うかどうかは一人ひとり異なります。通所が難しい場合は、どのようなことに困っているのかを整理し、市区町村、相談支援専門員、B型事業所へ相談してみましょう。
だいこん畑のB型事業所については、就労継続支援B型のサービス案内をご確認ください。利用開始までの手続きは、利用・応募までの流れでも紹介しています。
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