「就労継続支援を利用すると、実際にどのような変化がある?」「A型やB型を利用した先に、どんな働き方が考えられる?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
就労継続支援A型・B型は、一般企業などで働くことが難しい障害のある方に、働く機会や生産活動の機会を提供し、本人の状況に応じた支援を行う障害福祉サービスです。
利用による「成功」は、必ずしも一般企業へ就職することだけではありません。週1日から通所を始めて生活リズムが整った、仕事を覚えて自信がついた、長く安定して働けるようになった、自分に合う仕事が分かったという変化も大切な成果です。
この記事では、就労継続支援A型・B型の違いを確認したうえで、利用によってどのような変化が考えられるのかを5つの事例モデルで紹介します。さらに、利用がうまくいきにくいケース、家族や支援者の関わり方、事業所を上手に活用するポイントまで解説します。
この記事で分かること
- 就労継続支援A型・B型の基本的な違い
- 就労継続支援を利用した事例モデル
- 通所や仕事が安定するまでの考え方
- 一般就労を目指す場合の活用方法
- 利用がうまくいきにくい場合の考え方
- 自分に合う事業所を選ぶポイント
目次
1.就労継続支援の「成功」とは?
就労継続支援を利用するときに、「一般企業へ就職できたら成功」と考える方もいるかもしれません。
しかし、就労継続支援を利用する目的や現在の状態は一人ひとり異なります。
そのため、本人にとってどのような変化を目指すのかを考えることが重要です。
1-1.一般就労だけが成功ではない
就労継続支援の利用によって得られる成果には、さまざまなものがあります。
- 週1日だった通所が週3日まで増えた
- 朝決まった時間に起きられるようになった
- 休まず仕事を続けられる日が増えた
- 自分に向いている作業が分かった
- 職員へ相談できるようになった
- 仕事を任されるようになった
- B型からA型へ働き方を変えた
- A型から一般企業へ就職した
このように、「できることが増える」「安定して働けるようになる」という変化も重要です。
1-2.本人ごとに目標は異なる
体調が安定している方と、まだ生活リズムを整えている途中の方では、同じ目標を設定する必要はありません。
たとえば、現在週1日程度しか外出できない方にとっては、「毎週決まった日に通所する」ことが最初の目標になる場合があります。
一方、A型で安定して週5日勤務できている方であれば、仕事の幅を広げたり、一般就労を検討したりすることもできます。
他の利用者と比較するのではなく、本人の状態と希望に合った目標を設定することが大切です。
事例について
以下の事例は、特定の個人や事業所の実績を示すものではありません。就労継続支援で考えられる利用経過を分かりやすくするために構成した「事例モデル」です。
2.A型とB型の違いを確認
事例を見る前に、就労継続支援A型とB型の基本的な違いを確認しておきましょう。
どちらも一般企業などで働くことが難しい障害のある方へ、働く機会や必要な支援を提供する障害福祉サービスですが、雇用契約の有無などに違いがあります。
| 比較項目 | A型 | B型 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | あり | なし |
| 受け取るお金 | 賃金 | 工賃 |
| 最低賃金 | 原則適用 | 適用されない |
| 勤務・利用 | 雇用条件に基づく | 本人の状態に応じて利用 |
A型は事業所と雇用契約を結び、労働者として働きます。B型では雇用契約を結ばず、生産活動などに取り組みます。
そのため、「A型の方が上」「B型から必ずA型へ進む」と考える必要はありません。現在の体調、働ける時間、本人の希望などを踏まえて利用するサービスを考えます。
詳しい違いについては、就労継続支援A型・B型などの福祉サービス比較でも紹介しています。

3.事例1|週2日から通所が安定した
最初の事例モデルは、体調に波があり、外出する機会が少なくなっていた方です。
働きたいという気持ちはありましたが、「毎日通えるか不安」「途中で体調が悪くなったらどうしよう」という心配があり、すぐに週5日の利用を始めることには負担を感じていました。
そこでB型事業所と相談し、最初は週2日、短い時間から利用を開始しました。
通所する日は朝起きる時間を決め、事業所では無理のない量の軽作業に取り組みました。体調が悪いときには職員へ相談し、作業量や休憩を調整しました。
利用を続けるうちに、決まった曜日に外出する習慣がつき、徐々に生活リズムも整っていきました。その後、本人と相談しながら利用日数を増やし、週3日程度安定して通えるようになりました。
この事例で重要なのは、「最初から週5日を目指さなかったこと」です。
現在できる範囲から始め、安定してから次の目標を考えることで、無理なく利用を継続できました。
4.事例2|得意な作業が仕事になった
次の事例モデルは、自分に向いている仕事が分からず、「何をしても長続きしない」と感じていた方です。
B型事業所で、商品の袋詰め、シール貼り、検品、パソコンへの商品情報入力など、いくつかの作業を経験しました。
複数の仕事を経験する中で、細かい部分を確認する作業が得意で、一定の手順を繰り返す仕事には集中して取り組めることが分かりました。
職員も本人の作業状況を確認し、得意な作業を任せる機会を増やしました。
すると、「自分にもできる仕事がある」と感じられるようになり、作業への意欲も安定していきました。
就労継続支援を利用するメリットの一つは、実際の作業を通じて得意不得意を確認できることです。
自分では苦手だと思っていた作業が意外と得意だったり、反対に興味がある仕事でも長時間続けると負担が大きかったりすることがあります。
5.事例3|B型からA型へ進んだ
3つ目は、B型を利用しながら徐々に働く時間を増やし、A型への利用につながった事例モデルです。
利用開始時は長時間の作業が難しく、B型で短時間から取り組みました。
毎日の生活リズムを確認しながら利用を続け、徐々に通所日数と作業時間を増やしました。
その後、決められた時間に安定して通えるようになり、作業の報告や職員への相談も自分からできるようになりました。
本人から「もう少し長い時間働いて給料を得たい」という希望が出たため、相談支援専門員や事業所と今後の働き方について相談しました。
A型事業所を見学し、仕事内容や勤務時間を確認したうえで求人へ応募し、採用後にA型で働き始めました。
ここで重要なのは、B型を単なる「A型へ行く前の場所」と考えなかったことです。
B型で生活リズムや作業習慣を整えた結果、本人自身が次の働き方を希望できる状態になったことがポイントです。
6.事例4|A型で長く働けるようになった
4つ目は、一般企業への就職ではなく、A型で安定して働き続けることを目標にした事例モデルです。
以前の職場では、分からないことがあっても質問することが苦手で、仕事を抱え込んでしまうことがありました。
A型で働き始めてからも、最初は同じような場面がありました。
そこで職員との面談で、「分からないことをそのままにしない」「困ったときに誰へ声をかけるか」を決めました。
また、口頭の指示だけでは分かりにくい仕事については、作業手順を文字で確認できるようにしました。
こうした支援を受けることで仕事上の失敗が減り、本人も落ち着いて働けるようになりました。
就労継続支援A型では、一般企業へ移ることだけが目標ではありません。
本人がA型で働くことを希望し、現在の働き方が合っているのであれば、安定して働き続けることも一つの成果です。
7.事例5|A型から一般就労へ進んだ
5つ目は、A型での仕事を通じて働く経験を積み、一般企業への就職を目指した事例モデルです。
A型の利用開始時は、長期間仕事から離れていたため、毎日決められた時間に勤務できるか不安がありました。
まずは現在の勤務時間を安定させることを目標にしました。
仕事に慣れてからは担当業務が増え、職員への報告や周囲とのコミュニケーションも安定していきました。
本人から一般企業で働きたいという希望が出たため、希望する仕事内容、求人、応募書類、面接、職場で必要な配慮などについて整理しました。
こうした準備を進めたうえで一般企業の求人へ応募し、就職につながりました。
一般就労後も働き続けるための支援が必要な場合は、条件を満たせば就労定着支援を利用できることがあります。

8.成功事例に共通するポイント
5つの事例モデルを見ると、成果の内容はそれぞれ異なります。
しかし、利用を安定させるために共通して大切になるポイントがあります。
8-1.最初から無理をしない
「早く働けるようになりたい」と考えて、最初から多くの日数や長い時間に挑戦すると、負担が大きくなることがあります。
特に長期間仕事から離れていた場合や、生活リズムがまだ安定していない場合には、現在継続できる範囲から始めることが大切です。
週2日を安定して続けられるようになってから週3日へ増やすなど、小さな目標を積み重ねる方法もあります。
8-2.困ったことを早めに相談する
仕事を続ける中では、作業、人間関係、体調などさまざまな困りごとが起こることがあります。
問題が大きくなってから相談するのではなく、「少し困っている」という段階で職員へ伝えることが重要です。
たとえば、「作業手順が覚えられない」「集中すると疲れすぎる」「朝の通所が最近つらい」といったことも相談できます。
職員と状況を整理することで、作業方法や目標、支援内容を調整できる場合があります。
8-3.得意なことを見つける
自分に合う働き方を見つけるためには、「できないこと」だけを見るのではなく、「できること」「得意なこと」も確認することが大切です。
実際に仕事へ取り組んでみると、自分では気づいていなかった得意分野が見つかることがあります。
たとえば、作業スピードはゆっくりでもミスが少ない、同じ作業を長時間続けられる、人と話すことが得意、パソコンへの入力が正確など、それぞれの強みがあります。
本人の強みを生かせる仕事があることは、働き続けやすさにもつながります。
大切なのは「続けられること」
最初から大きな成果を目指す必要はありません。現在できることを安定させ、本人と職員が相談しながら次の目標を考えることが、働き方を広げることにつながります。
9.利用がうまくいきにくいケース
就労継続支援を利用すれば、すぐに通所や仕事が安定するとは限りません。
利用開始時に目標を高く設定しすぎたり、困りごとを抱えたまま無理を続けたりすると、通所そのものが負担になることがあります。
たとえば、週2日程度が現在の体調に合っているにもかかわらず、最初から週5日を目標にすると、疲れがたまって欠席が増える場合があります。
また、「休んだら迷惑をかける」「こんなことを相談してはいけない」と考えて、体調不良や仕事上の困りごとを伝えられないケースもあります。
大切なのは、予定どおりに進まなかったときに「失敗した」と考えるのではなく、なぜ続けにくかったのかを確認することです。
利用日数が多すぎたのか、仕事が本人に合っていなかったのか、通所による負担が大きかったのかなどを整理し、必要に応じて個別支援計画や利用方法を見直します。
一度決めた目標を変更することは、後退ではありません。本人が無理なく続けられる方法へ調整することも支援の一つです。
10.家族や支援者ができること
本人が就労継続支援を利用するとき、家族や支援者の関わりも大切になる場合があります。
ただし、周囲が本人より先に目標を決めたり、「もっと通えるはず」「早くA型や一般就労へ進んだ方がよい」と急がせたりすると、本人にとって負担になることがあります。
まずは本人がどのように働きたいのか、何に困っているのかを確認することが大切です。
家庭では、睡眠時間が大きく変わった、通所前に強い不安が出る、帰宅後に極端に疲れているなど、事業所では分かりにくい変化に気づくこともあります。
本人の同意や状況に応じて、そうした情報を事業所や相談支援専門員と共有することで、利用日数や作業量、支援方法を考える参考になります。
支援者同士が本人の目標を共有し、それぞれの役割を整理しておくと、本人が相談先に迷いにくくなります。

11.自分に合う事業所を選ぶ方法
就労継続支援を上手に活用するには、自分に合う事業所を選ぶことも重要です。
A型・B型という種類だけでは、実際の仕事内容や支援方法までは分かりません。事業所によって、仕事内容、利用・勤務時間、職員の支援方法、雰囲気などが異なります。
見学するときは、次のような点を確認しておくと利用後をイメージしやすくなります。
- どのような仕事があるか
- 自分に合いそうな作業があるか
- 勤務・利用時間を継続できそうか
- 体調が悪いときはどのように相談するか
- 作業が分からないときにどのような支援を受けられるか
- A型の給料やB型の工賃はどのような仕組みか
- 休憩や昼食はどのようになっているか
- 通勤・通所しやすい場所か
- 一般就労など将来について相談できるか
ホームページや求人票を見るだけでなく、可能であれば実際に事業所を見学しましょう。
作業場所や職員の対応、実際の雰囲気を見ることで、「ここなら継続できそうか」を考えやすくなります。
だいこん畑のA型については就労継続支援A型、B型については就労継続支援B型のページで紹介しています。
12.利用開始までの流れ
就労継続支援を利用したい場合は、いきなり利用契約を結ぶのではなく、相談や見学から始めます。
一般的には、次のような流れで進みます。
- 市区町村や相談支援事業所などへ相談する
- A型・B型など自分に合うサービスを検討する
- 気になる事業所を探す
- 見学や相談を行う
- 必要な障害福祉サービスの利用手続きを進める
- 受給者証の交付を受ける
- 利用契約などを行い利用を開始する
A型の場合は雇用契約を結ぶため、福祉サービスの利用手続きとは別に求人への応募や採用選考も関係します。
具体的な順番は自治体や本人の状況によって異なる場合があります。
だいこん畑での手続きについては、利用・応募までの流れをご確認ください。
13.就労継続支援のよくある質問
Q.就労継続支援を利用すれば一般就労できますか?
就労継続支援を利用したからといって、必ず一般企業へ就職できるわけではありません。
本人が一般就労を希望し、必要な準備が整った場合には、就職へ向けた支援を検討することがあります。
Q.B型からA型へ必ず進む必要がありますか?
いいえ。B型からA型へ進むことがすべての利用者の目標ではありません。
B型で自分に合ったペースで働き続けることも選択肢の一つです。本人の希望や状態に応じて考えます。
Q.A型でずっと働いてもよいですか?
A型で安定して働き続けることも一つの働き方です。
一般就労への移行だけを目標にするのではなく、本人がどのように働きたいかを確認しながら支援を行います。
Q.B型は好きな時間に利用できますか?
B型はA型より利用時間などを調整しやすい場合がありますが、利用者が好きな時間に自由に出入りするサービスという意味ではありません。
利用日や利用時間については、本人の状態や個別支援計画、事業所の運営時間などを踏まえて相談します。
Q.自分に向いている仕事が分からなくても利用できますか?
自分に向いている仕事内容が分からない段階で相談することもできます。
実際の作業を経験しながら、得意なこと、苦手なこと、続けやすい作業などを確認していくことも就労支援の一つです。
Q.一度利用を休んだら失敗ですか?
利用を休んだことだけで「失敗」と考える必要はありません。
体調や生活状況が変化することもあります。なぜ利用を続けにくくなったのかを確認し、利用日数や支援方法を見直してから再開を検討することもできます。
Q.成功するために一番大切なことは何ですか?
一つの答えがあるわけではありませんが、本人に合った目標を設定し、困ったときに支援者へ相談しながら継続することが重要です。
他の人の進み方と比較するのではなく、自分にとって無理なく続けられる働き方を探していきましょう。
まとめ|自分に合う働き方を見つける
就労継続支援A型・B型を利用したときの成果は、一人ひとり異なります。
- 通所を安定して続けられるようになる
- 生活リズムを整える
- 自分に合う仕事を見つける
- 仕事上の困りごとを相談できるようになる
- B型からA型へ働き方を変える
- A型で安定して働き続ける
- A型などでの経験を生かして一般就労を目指す
大切なのは、「一般就労できたか」という一つの基準だけで判断しないことです。
現在の状態から少しずつできることを増やし、本人が希望する働き方に近づいていくことも大きな成果です。
予定どおりに進まないときも、その理由を本人と支援者で確認し、利用方法を調整することで次の一歩につながることがあります。
事業所を選ぶときは、A型・B型という種類だけでなく、仕事内容、利用・勤務時間、職員による支援、通いやすさなどを確認し、自分に合う環境を探しましょう。
大阪市で就労継続支援事業所を
お探しの方へ
自分に合う働き方を
だいこん畑で
一緒に考えませんか?
だいこん畑では、
大阪市内で就労継続支援A型・B型の
事業所を運営しています。
体調や生活リズム、得意なこと、
希望する働き方を確認しながら、
無理のない利用方法をご案内します。
利用するか決まっていない段階でも、
見学や相談だけで問題ありません。
ご本人だけでなく、ご家族、相談支援専門員、
医療機関などからのご相談も
受け付けています。