大阪市で就労継続支援B型事業所を探している方のなかには、「B型の工賃はいくらくらい?」「今より工賃を増やすことはできる?」と気になっている方もいるでしょう。
就労継続支援B型で支払われる工賃は、一般企業で受け取る給与とは仕組みが異なります。事業所の作業内容や受注単価、生産活動の売上、必要経費、利用日数、工賃の計算方法などによって金額が変わるため、同じ大阪市内でも事業所ごとに差があります。
工賃を上げたい場合も、単純に「たくさん通う」「速く作業する」ことだけが答えではありません。自分に合った作業を安定して続けることや、事業所側が継続的な仕事を確保し、作業工程を工夫することも工賃向上につながります。
この記事では、大阪市の就労継続支援B型における工賃の目安から、工賃が高い事業所に見られる特徴、利用者本人ができること、事業所を選ぶときの確認ポイントまで分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- B型事業所の工賃の仕組み
- 全国・大阪府・大阪市の平均工賃
- 工賃が高いB型事業所に見られる特徴
- 利用者が工賃アップにつなげる方法
- 工賃を重視して事業所を選ぶときのポイント
目次
1.B型事業所の工賃とは
就労継続支援B型は、障がいや病気などの影響によって一般企業や雇用契約を結ぶ働き方が難しい方が、支援を受けながら自分のペースで作業に取り組める障害福祉サービスです。
B型事業所では、原則として事業所と利用者との間に雇用契約を結びません。そのため、作業に対して支払われるお金は最低賃金が適用される「給与」ではなく、「工賃」と呼ばれます。
A型とB型の働き方の違いについて詳しく知りたい方は、就労継続支援A型・B型などの福祉サービス比較もご覧ください。
1-1.工賃はどう決まる?
工賃の原資となるのは、原則として利用者が行う生産活動によって得た収入から、生産活動に必要な経費を差し引いた金額です。
例えば、企業から商品の袋詰めを請け負って10万円の売上があったとしても、その10万円がすべて工賃になるわけではありません。材料費、運搬費、販売手数料などの経費が必要であれば、それらを差し引いたうえで工賃の原資となります。
工賃の計算方法も事業所によって異なります。
- 作業時間に応じて計算する
- 利用した日数に応じて計算する
- 完成した数量に応じて計算する
- 複数の方法を組み合わせて計算する
同じ日数を利用していても、事業所の工賃規程や担当する作業によって受け取る金額が異なる場合があります。
ポイント
B型の工賃を見るときは、月額だけでなく「どのような計算方法なのか」「何日・何時間利用した場合の金額なのか」まで確認しましょう。

2.大阪市のB型平均工賃
厚生労働省が公表している令和6年度の就労継続支援B型事業所の全国平均工賃月額は、24,141円です。
大阪府が公表している令和6年度の平均工賃月額は19,747円です。また、大阪府の市町村別実績では、大阪市の平均工賃月額は約19,614円となっています。
| 地域 | 令和6年度平均工賃月額 |
|---|---|
| 全国 | 24,141円 |
| 大阪府 | 19,747円 |
| 大阪市 | 約19,614円 |
ただし、「大阪市のB型を利用すれば毎月約19,600円受け取れる」という意味ではありません。
平均工賃は複数の事業所の実績を集計した数値です。実際の工賃は利用日数、作業時間、担当する仕事、事業所の売上、工賃の計算方法などによって変わります。
2-1.前年との単純比較には注意
令和5年度以降は、B型事業所の平均工賃月額の算定方法が変更されています。令和4年度以前の平均工賃と比べる場合は、計算方法が異なる点にも注意が必要です。
また、厚生労働省は令和8年3月に令和5年度の全国平均工賃を修正しており、現在の修正後の数値は22,649円です。
平均工賃について
平均額は事業所を比較するときの参考にはなりますが、実際に自分が受け取れる工賃を示す金額ではありません。見学時には、その事業所の工賃実績と計算方法を確認しましょう。
3.工賃に差が出る理由
同じ大阪市内のB型事業所でも、工賃には差があります。大きな理由は、事業所ごとに生産活動の内容や収益力が異なるためです。
- 企業から受ける仕事の単価
- 毎月確保できる仕事量
- 自主製品の販売額
- 材料費や運搬費などの経費
- 利用者数や利用日数
- 作業工程や生産効率
- 工賃の計算方法
3-1.単価だけでは決まらない
例えば、1個当たりの単価が高い仕事でも、月に数回しか受注できなければ安定した収益にはつながりにくくなります。
反対に、1個当たりの単価はそれほど高くなくても、大量に継続受注できる仕事であれば、毎月一定の収入を確保しやすくなります。
自主製品も同様です。販売価格が高くても、材料費、送料、出店料、販売手数料などが多くかかれば、工賃に回せる利益は少なくなります。
そのため、「パソコン作業だから工賃が高い」「自主製品を作っているから高工賃」と一律に判断することはできません。
4.工賃が高い事業所の特徴
工賃が比較的高いB型事業所では、単に利用者へ多く作業してもらうのではなく、事業所全体で売上や利益を高める工夫を行っています。
4-1.継続した仕事を確保している
毎月安定して工賃を支払うためには、安定した仕事量が必要です。
企業と継続的な取引があり、毎月一定量の作業を受注できる事業所では、利用者へ継続して作業を提供しやすくなります。
また、一社だけではなく複数の企業から仕事を受けている場合、一つの仕事が減ったときにも別の作業で補える可能性があります。
4-2.付加価値の高い仕事がある
工賃向上に取り組む事業所では、単価の低い軽作業だけでなく、一定の技術や品質が求められる仕事を組み合わせていることがあります。
- 食品や商品の加工
- ハンドメイド製品の制作
- データ入力
- 画像加工
- ECサイトへの商品登録
- インターネット販売の出品・発送
- 印刷物やノベルティ制作
ただし、高単価な仕事だから誰にとっても良いとは限りません。作業が本人に合わなければ負担が増え、継続が難しくなることもあります。
4-3.作業工程を工夫している
工賃アップというと利用者の作業スピードを上げることが注目されがちですが、先に見直したいのは作業の流れです。
- 道具の置き場所を決める
- 写真付きの作業手順書を用意する
- 一つの仕事を細かな工程に分ける
- 完成品と不良品の見本を用意する
- 検品のタイミングを決める
- 作業量を分かりやすく見える化する
こうした工夫によって、利用者へ無理に速さを求めなくても、ミスややり直しを減らし、生産量を増やせることがあります。
4-4.得意な作業を分担している
B型を利用する方は、得意なことや集中できる時間、疲れやすさなどが一人ひとり異なります。
全員に同じ作業を求めるより、それぞれの得意分野に応じて工程を分担した方が、事業所全体の生産性が高まる場合があります。
- 細かな確認が得意な方は検品
- パソコンが得意な方はデータ入力
- 手作業が得意な方は袋詰めや組立
- 体を動かすことが得意な方は運搬や清掃
- 人との会話が得意な方は販売や接客
本人の得意な部分を生かすことは、作業への自信や継続にもつながります。

5.利用者が工賃を上げる方法
利用者本人が工賃アップを目指す場合、無理に作業量を増やす必要はありません。まずは現在の工賃の仕組みを知り、自分にできることから取り組みましょう。
5-1.安定した利用を目指す
工賃が利用日数や作業時間に応じて計算される事業所では、安定して利用できるようになることで月の工賃が増える可能性があります。
ただし、毎日通うことが目標ではありません。無理に日数を増やして体調を崩し、長期間休むようになってしまえば、継続が難しくなります。
週1日、週2日など現在の体調に合ったペースから始め、安定してきたら職員と相談しながら利用時間や日数を調整する方法があります。
5-2.自分に合う作業を探す
工賃を上げたいからといって、単価だけを見て苦手な作業を選ぶ必要はありません。
自分に合った作業であれば、経験を積むなかで正確さや作業量が自然に高まることがあります。
だいこん畑のB型サービスについては、就労継続支援B型のサービスページでも作業内容や利用方法をご案内しています。
5-3.できる工程を少し増やす
現在の作業に慣れてきたら、職員と相談しながら新しい工程を試す方法もあります。
例えば袋詰めだけを担当していた方が、検品や数量確認までできるようになれば、担当できる仕事の幅が広がります。
パソコン作業でも、文字入力から商品登録、画像加工、出品作業へと段階的に広げられる場合があります。
すべての利用者が難しい作業を目指す必要はありません。慣れた作業を安定して続けることも大切な役割です。
5-4.目標を職員と共有する
「もう少し工賃を増やしたい」と考えている場合は、職員へその希望を伝えてみましょう。
- 現在の工賃の計算方法を知りたい
- 利用日数を増やせるか相談したい
- 別の作業にも挑戦したい
- 得意な工程を増やしたい
- 将来A型や一般就労も検討したい
「週2日を安定して通う」「新しい工程を一つ覚える」など、工賃額以外の小さな目標を設定するのも一つの方法です。
6.工賃が上がりやすい作業
「どんな仕事なら工賃が高くなりやすいのか」と気になる方もいるでしょう。
実際には、作業の種類だけで工賃が決まるわけではありません。ただし、継続受注しやすい仕事や、一定の付加価値をつけられる仕事は、事業所の収益につながりやすい傾向があります。
6-1.企業からの継続請負
袋詰め、検品、組立、梱包などの請負作業でも、企業から継続して一定量を受注できれば、安定した生産活動につながります。
6-2.パソコンを使う作業
データ入力、画像加工、商品登録、ECサイト運営補助などは、設備や人材を整えることで継続的な業務につながる場合があります。
ただし、パソコン作業というだけで必ず高工賃になるわけではなく、受注単価や仕事量が重要です。
6-3.製造・加工や自主製品
食品加工、ハンドメイド製品、オリジナル商品などは、販売価格や販路を事業所側で工夫できる点が特徴です。
一方、材料費や在庫、販売手数料なども発生するため、「商品が売れた金額=工賃」ではありません。
作業名だけで判断しない
工賃に影響するのは「何をするか」だけではありません。単価、仕事量、継続性、必要経費、作業効率などを含めて考える必要があります。
7.工賃を重視した事業所選び
大阪市でB型事業所を探す場合、工賃は重要な比較材料の一つです。ただし、工賃額だけで決めると、利用開始後に作業や通所が合わないこともあります。
7-1.工賃の計算方法を聞く
見学時には「平均工賃はいくらですか?」だけでなく、次の点まで確認してみましょう。
- 工賃は時間・日数・出来高のどれで計算するか
- 表示されている平均工賃はどの期間の実績か
- 利用日数によって工賃はどう変わるか
- 作業によって工賃額が変わるか
- 工賃が変動することはあるか
7-2.実際の作業を確認する
高い工賃を提示している事業所でも、希望する作業を必ず担当できるとは限りません。
「自分が実際に担当できそうな作業は何か」「未経験でも教えてもらえるか」「体調に応じて作業を変えられるか」まで確認しておくと安心です。
7-3.通いやすさも比較する
工賃が高くても、通所に時間がかかり過ぎたり、利用時間が体調に合わなかったりすると、長く続けにくくなる場合があります。
自宅からの距離、交通手段、利用時間、利用日数、送迎の有無なども確認しましょう。
大阪市内のだいこん畑の各事業所は、事業所一覧から確認できます。
7-4.見学や体験で確かめる
ホームページの情報だけでは、職員の支援方法や事業所の雰囲気まで判断することは難しいものです。
気になる事業所があれば、実際に見学し、可能であれば作業を体験してから比較しましょう。
利用までの手続きについては、利用・応募までの流れをご覧ください。障害福祉サービスの利用について整理したい場合は、計画相談支援へ相談する方法もあります。

8.工賃アップの注意点
8-1.工賃だけで決めない
工賃が高いことは魅力の一つですが、それだけで自分に合う事業所とは限りません。
作業内容、職員への相談のしやすさ、利用時間、休憩の取り方、通いやすさなども含めて比較しましょう。
8-2.無理に利用日数を増やさない
工賃を増やすために無理をして利用日数を増やすと、体調を崩して継続できなくなる場合があります。
B型は支援を受けながら働くための福祉サービスです。まずは自分に合ったペースを安定させることを優先しましょう。
8-3.工賃は毎月同じとは限らない
事業所の受注量や販売実績、利用日数などによって、工賃が月ごとに変動する場合があります。
「先月○円だったから、毎月同じ金額を受け取れる」とは限らないため、工賃規程や計算方法を確認しておきましょう。
8-4.生活費とのバランスも考える
B型の平均工賃だけで毎月の生活費をすべてまかなうことは難しいケースがあります。
障害年金や各種制度など、利用できる制度があるか確認したい場合は、自治体や年金事務所などの専門窓口へ相談しましょう。
9.B型の工賃に関するFAQ
Q1.通所日数を増やすと工賃も上がりますか?
工賃の計算方法によっては、利用日数や作業時間が増えることで受け取る工賃が増える場合があります。ただし、すべての事業所で同じ仕組みではありません。事業所の工賃規程を確認してください。
Q2.工賃が高い事業所へ変更できますか?
現在利用している事業所から別のB型事業所へ変更することを検討することはできます。ただし、受け入れ状況や受給者証の手続きなどが関係するため、自治体や相談支援専門員、利用を希望する事業所へ確認しましょう。
Q3.作業が遅くてもB型を利用できますか?
作業の速さだけでB型を利用できるかどうかが決まるわけではありません。本人の状態や希望に合わせて作業内容や支援方法を調整することがB型の特徴の一つです。
Q4.工賃を受け取ると障害年金に影響しますか?
B型で工賃を受け取っていることだけを理由に、障害年金が一律に停止されるわけではありません。ただし、障害年金の種類や本人の状況によって確認すべき点が異なります。年金の受給可否や更新については年金事務所などへ確認してください。
Q5.在宅利用でも工賃を受け取れますか?
必要な要件を満たし、在宅での支援が認められている場合は、在宅で行った作業について工賃が支払われることがあります。ただし、すべてのB型事業所が在宅利用に対応しているわけではありません。利用を希望する場合は、事業所や自治体へ確認してください。
まとめ
就労継続支援B型の工賃は、事業所の作業内容、売上、受注単価、必要経費、利用日数、工賃の計算方法などによって異なります。
- 令和6年度の全国平均工賃月額は24,141円
- 大阪府は19,747円、大阪市は約19,614円
- 継続受注や高付加価値の仕事、作業工程の改善が工賃向上につながる
- 利用者は無理のない通所と、自分に合う作業を見つけることが大切
- 事業所選びでは工賃だけでなく作業内容・支援体制・通いやすさも確認する
工賃を増やしたい場合は、まず現在の工賃の計算方法を確認し、自分の体調や得意なことに合った目標を職員と相談してみましょう。
大阪市でB型事業所を探している方は、一つの事業所だけで決めず、複数の事業所を見学して比較することをおすすめします。
参考資料
大阪市で就労継続支援事業所を
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