大阪市で就労継続支援B型事業所を探す際、工賃の金額が気になる方は少なくありません。現在B型を利用している方のなかにも、「もう少し工賃を増やしたい」「今の事業所とほかの事業所では、どのくらい違うのだろう」と感じている方がいるでしょう。
B型事業所で支払われるのは、一般企業の給料とは性格が異なる「工賃」です。工賃は、事業所が請け負っている仕事の単価や量、自主製品の売上、必要経費、工賃の計算方法などによって決まります。大阪市内であっても、事業所ごとに金額が違うのはこのためです。
ただ、工賃の高さだけで事業所を選ぶと、実際に通い始めてから「作業が合わない」「通所日数が負担になった」と感じることがあります。長く続けるには、作業内容、通いやすさ、支援の受けやすさまで含めて考える必要があります。
まずは自分の体調に合う利用ペースをつくり、そのうえで得意な作業や担当できる工程を少しずつ増やしていく。この積み重ねが、結果として工賃アップにつながります。
この記事では、大阪市の平均工賃や事業所ごとに差が出る理由を整理しながら、工賃向上に取り組む事業所の特徴、利用者本人が取り組めること、見学時に確認したい点を紹介します。
1.大阪市の就労継続支援B型における工賃の現状
1-1.就労継続支援B型の工賃とは
就労継続支援B型は、障がいや病気などの影響により、一般企業や就労継続支援A型で雇用契約を結んで働くことが難しい方が、支援を受けながら作業に取り組める障害福祉サービスです。
B型事業所では、原則として事業所と利用者の間に雇用契約を結びません。そのため、最低賃金が適用される「給料」ではなく、作業によって得られた収益などをもとに「工賃」が支払われます。
工賃の支払い方法は事業所によって異なります。1時間当たりの金額を決める時間額方式、1日の利用に対して支払う日額方式、完成した商品の個数に応じて計算する出来高方式などがあります。
同じ日数を利用していても、工賃の計算方法や担当する作業によって、受け取る金額が異なることがあります。
また、工賃の原資は、原則として利用者が行った生産活動によって得た収入から、生産活動に必要な経費を差し引いた金額です。
例えば、商品の袋詰めを企業から請け負った場合には、企業から支払われる作業代が収入になります。ただし、そのすべてが工賃になるわけではありません。材料費、運搬費、設備費、販売手数料などを差し引いたうえで、利用者へ工賃として支払われます。
1-2.大阪市・大阪府・全国の平均工賃
厚生労働省が公表した令和6年度の実績では、就労継続支援B型事業所の全国平均工賃月額は2万4,141円です。令和5年度の全国平均は、修正後の数値で2万2,649円となっており、全国平均は前年度より増加しています。
一方、大阪府の令和6年度平均工賃月額は1万9,747円です。全国平均の2万4,141円と比較すると、大阪府の平均は4,394円低い水準となっています。令和5年度の大阪府平均は1万8,176円であるため、大阪府内でも平均工賃は上昇しています。
大阪府が公表している市町村別の令和6年度実績によると、大阪市の平均工賃月額は約1万9,614円です。令和5年度の大阪市平均は約1万8,391円だったため、前年度から約1,223円増えています。
整理すると、令和6年度の平均工賃月額は次のとおりです。
- 全国平均:2万4,141円
- 大阪府平均:1万9,747円
- 大阪市平均:約1万9,614円
ただし、平均工賃は「大阪市内のB型事業所を利用すれば、必ず毎月約1万9,600円を受け取れる」という意味ではありません。
利用日数、作業時間、事業所の計算方法、作業単価、受注量などによって、実際に受け取る工賃は変わります。月に数回の利用であれば平均額より低くなることがあります。一方、安定して利用し、単価の高い作業に取り組める場合は、平均額を上回ることもあります。
また、令和5年度からは平均工賃月額の計算方法が変更されています。過去の数値と単純に比較するときは、算定方法の違いにも注意が必要です。
1-3.B型事業所によって工賃に差が生まれる理由
同じ大阪市内のB型事業所でも、平均工賃には差があります。
主な理由は、次のとおりです。
- 作業の受注単価が異なる
- 安定して受注できる取引先の数が異なる
- 自主製品の販売利益が異なる
- 利用者の人数や利用日数が異なる
- 作業に必要な経費が異なる
- 工賃の計算方法が異なる
- 作業の難易度や生産量が異なる
例えば、袋詰めやシール貼りなどの作業でも、受注先との契約条件によって作業単価は異なります。工程が多く、品質管理が必要な作業は、比較的高い単価で受注できることがあります。
ただ、簡単な作業であっても、数量が多く継続的に受注できれば、安定した作業収入につながります。反対に、単価が高くても受注が不定期であれば、毎月安定して工賃を支払うことが難しくなる場合もあります。
自主製品を製造している事業所では、商品の売れ行きによって工賃が変動します。商品が多く売れれば利益を確保しやすくなりますが、材料費や出店料、送料、販売手数料なども必要です。
「パソコン作業だから必ず工賃が高い」「自主製品を作っているから工賃が高い」とは限りません。
工賃を見るときは、金額だけで判断せず、どのような仕事から収益を得ているのかまで確認しておきたいところです。

2.工賃が高いB型事業所に見られる取り組み
2-1.高付加価値の作業や自主製品を取り入れている
工賃を増やすには、事業所の生産活動で得られる収入を伸ばさなければなりません。
工賃向上に力を入れている事業所では、単価の低い作業だけに頼らず、比較的付加価値の高い仕事を組み合わせています。具体的には、次のような作業です。
- 食品や菓子の製造・販売
- 農産物や水産物の加工
- ハンドメイド商品の製造
- 印刷物やノベルティ商品の制作
- パソコンを使ったデータ入力
- 写真撮影や画像加工
- インターネット販売の出品作業
- 商品の検品、梱包、発送
- 清掃や施設外での作業
ただし、作業単価だけを重視すると、利用者の負担が大きくなる場合もあります。
細かな作業が得意な方もいれば、長時間の集中が難しい方もいます。パソコン作業に興味がある方もいれば、体を動かす作業のほうが取り組みやすい方もいるでしょう。
工賃アップを目指す事業所には、高単価の仕事を導入するだけでなく、作業を複数の工程に分け、利用者が自分に合った部分を担当できるようにする工夫が求められます。
例えば、インターネット販売の作業には、商品の確認、汚れの拭き取り、写真撮影、画像のトリミング、商品情報の入力、梱包、発送準備など、さまざまな工程があります。
一人ですべての工程を担当するのではなく、それぞれの得意分野に合わせて作業を分担することで、参加できる利用者の幅が広がります。
2-2.企業と連携して安定した仕事を確保している
工賃を安定させるには、企業などから継続して仕事を受けられる関係づくりが欠かせません。
単発の仕事だけでは、作業のある月と少ない月が生まれやすくなります。毎月一定量の仕事を受注できれば、利用者が継続して作業に取り組みやすくなり、工賃の見通しも立てやすくなります。
企業との継続取引には、次のような対応が求められます。
- 納期を守る
- 決められた数量を確保する
- 不良品や作業ミスを減らす
- 報告や連絡を適切に行う
- 作業量の増減に対応する
- 取引先の希望に合わせて工程を調整する
こうした管理は、利用者だけが担うものではありません。職員が企業との窓口となり、納期や品質、作業量を調整する必要があります。
利用者が体調不良で休んだ場合にも、他の利用者や職員が工程を調整できる体制があれば、納品の遅れを防ぎやすくなります。
また、一つの取引先だけに依存していると、その企業からの受注が終了したときに、作業量が大きく減少することもあります。
複数の企業と連携し、異なる種類の仕事を確保している事業所は、作業量を安定させやすいといえます。
2-3.作業工程を見直して効率化している
工賃アップというと、「利用者がもっと速く作業すること」が必要だと思われることがあります。
しかし、利用者一人ひとりに作業スピードだけを求める方法は適切ではありません。急いで作業をすると、ミスが増えたり、疲労がたまったりすることがあります。
現場で先に見直したいのは、利用者の速さではなく、作業の流れそのものです。
具体的には、次のような改善方法があります。
- 道具の置き場所を決める
- 作業手順を写真やイラストで示す
- 一つの作業を細かな工程に分ける
- 得意な人が得意な工程を担当する
- 完成品と不良品の見本を用意する
- 作業台の高さや椅子を調整する
- 休憩のタイミングを決める
- 作業量を見える化する
作業手順が分かりやすくなると、職員へ何度も確認する負担が減ります。道具の位置を固定すれば、必要なものを探す時間も短くなります。
また、間違いやすい工程を職員が事前に確認したり、完成後に検品したりすることで、納品後のやり直しを減らすことができます。
このような改善を積み重ねることで、利用者に無理をさせずに生産量や品質を高められることもあります。
2-4.利用者の得意分野に合わせて作業を分担している
B型事業所には、さまざまな障がいや病気のある方が通っています。
集中できる時間、理解しやすい説明方法、得意な作業、疲れやすさなどは一人ひとり異なります。
全員に同じ作業を同じ方法で求めるより、本人の得意分野や体調に合わせて作業を分担したほうが、全体として効率が上がることがあります。
具体的には、次のような分担が考えられます。
- 細かな確認が得意な方は検品を担当する
- 体を動かすことが得意な方は運搬や清掃を担当する
- パソコンが得意な方は入力や出品作業を担当する
- 接客が得意な方は販売を担当する
- 同じ作業を繰り返すことが得意な方は袋詰めを担当する
- 長時間の集中が難しい方は短い工程を担当する
利用開始時には難しかった作業でも、繰り返し取り組むことで慣れていくことがあります。
職員が本人の変化を見ながら作業の幅を少しずつ広げることで、本人の自信や工賃アップにつながることもあります。
3.利用者が工賃アップにつなげるためにできること
3-1.体調に合わせて安定した通所を目指す
工賃の計算方法によっては、利用日数や作業時間が増えると、受け取る工賃も増えることがあります。
ただし、体調を無視して毎日通う必要はありません。
B型事業所は、障がいや体調に配慮しながら利用する福祉サービスです。無理をして通所日数を増やし、体調を崩して長期間休むことになれば、かえって継続が難しくなります。
まずは、週1日や週2日など、無理のない日数から始める方法があります。生活リズムが整い、通所後の疲れも強く残らないようであれば、職員と相談しながら少しずつ日数を増やします。
体調に波がある方は、次のような工夫も有効です。
- 午前中だけ利用する
- 午後から利用する
- 1日おきに通う
- 作業の途中で休憩を入れる
- 体調に合わせて作業量を調整する
- 通所と在宅利用を組み合わせる
- 体調変化を早めに職員へ伝える
安定した通所とは、毎日休まず通うことだけを意味するものではありません。
自分に合った予定を立て、大きく体調を崩さずに利用を続けることを意識しておきましょう。
3-2.自分に合った作業を見つける
工賃アップを考えるときは、単価が高い作業を選ぶことよりも、自分が無理なく続けられる作業を見つけることが大切です。
苦手な作業を無理に続けると、ミスが増えたり、作業への不安が強くなったりする場合もあります。
一方、自分に合った作業であれば、経験を重ねるなかで正確さや作業量が自然に高まることもあります。
例えば、手先を使う作業が得意な方には、シール貼り、袋詰め、検品、組み立てなどが向いていることがあります。
パソコンの操作が好きな方には、データ入力、画像加工、商品登録、インターネット販売の補助作業などが向いているかもしれません。
人との会話が好きな方は、販売、接客、商品説明などで力を発揮できる場合もあります。
自分では得意だと思っていなかった作業が、実際に体験すると意外に合っていることもあります。
事業所を利用するときは、「できるか、できないか」だけで決めず、複数の作業を試しながら、自分に合うものを探してみましょう。
3-3.新しい作業やスキルに挑戦する
今の作業に慣れて余裕が出てきたら、職員と相談しながら別の工程を試してみる方法もあります。
例えば、商品の袋詰めだけを担当していた方が、検品や数量確認にも取り組めるようになれば、担当できる工程が増えます。
パソコン作業では、文字入力だけでなく、画像のトリミング、表への入力、商品の出品、簡単な文章作成などへ段階的に進む方法があります。
ただし、すべての利用者が難しい作業へ進まなければならないわけではありません。
慣れている作業を安定して続けることも、事業所にとって大切な役割です。
新しい作業へ挑戦するときは、次の点を職員と一度相談してみてください。
- どのような手順で行うのか
- 分からないときは誰に相談するのか
- どこまでできればよいのか
- 疲れたときに休憩できるか
- 作業量を調整できるか
最初から一人で完璧に行う必要はありません。職員に確認しながら少しずつ覚えていくことを意識しておきましょう。
3-4.正確さと報告・相談を意識する
受注作業では、速さだけでなく、間違いなく仕上げることも取引先からの信頼につながります。
急いで多くの商品を仕上げても、不良品や入力ミスが多ければ、修正ややり直しに時間がかかります。
企業からの受注作業では、納品する商品の品質が安定していることが、継続契約につながります。
作業中に分からないことがあった場合は、自分の判断だけで進めず、職員へ確認しておきましょう。
また、体調が悪いときや集中しにくいときも、早めに伝えることを意識しておきましょう。
報告や相談は、作業ができないことを伝えるためだけではありません。
「ここまで終わりました」「この部分が分かりません」「少し休憩したいです」と伝えることで、職員が作業量や進め方を調整しやすくなります。
正確な作業と適切な報告を積み重ねることで、担当できる仕事が増え、結果的に事業所全体の受注拡大や工賃向上につながることもあります。
3-5.作業の目標を職員と共有する
工賃を上げたいと思っていても、具体的な目標が分からなければ、何から始めればよいか迷うことがあります。
そのようなときは、職員へ希望を伝えてみましょう。
具体的には、次のような相談ができます。
- 現在の工賃の計算方法を知りたい
- 月にどの程度の工賃を目指せるか知りたい
- 利用日数を増やせるか相談したい
- 新しい作業を体験したい
- 得意な作業を増やしたい
- パソコン作業に挑戦したい
- 将来はA型や一般就労を目指したい
目標は、工賃額だけでなくても構いません。
「週2日の通所を安定させる」「1時間作業を続ける」「新しい工程を一つ覚える」など、小さな目標から始める方法もあります。
目標を職員と共有すれば、必要な支援や作業内容を一緒に考えやすくなります。

4.工賃が上がりやすい仕事・作業の特徴
4-1.継続的に受注できる企業からの請負作業
B型事業所で安定した工賃につながりやすいのは、毎週または毎月、一定量を受注できる仕事です。
例えば、商品の袋詰め、ラベル貼り、検品、組み立て、梱包、発送準備などがあります。
単価が特別高くなくても、受注量が安定していれば、毎月の作業収入を確保しやすくなります。
ただ、納期が短すぎる仕事や、急な数量変更が多い仕事は、利用者や職員の負担になる場合もあります。
事業所が企業と適切に調整し、利用者の人数や体調を見ながら、無理のない受注量に調整していることが重要です。
4-2.パソコンやインターネットを活用した作業
近年は、B型事業所でもパソコンを使った作業が増えています。
実際の作業には、次のようなものがあります。
- 文字や数字の入力
- 名簿や商品情報の整理
- 画像のトリミング
- 写真撮影
- インターネット販売への出品
- 商品の価格調査
- 文章作成の補助
- チラシや名刺の制作
- ウェブサイトの更新補助
パソコン作業は、移動や体力面に制限がある方でも取り組みやすい場合もあります。また、在宅利用と組み合わせやすい作業もあります。
ただし、パソコン作業だから必ず高工賃になるわけではありません。
事業所がどのような仕事を受注しているか、仕事量が安定しているか、職員から操作方法を教えてもらえるかなどを確認する必要があります。
4-3.食品製造や商品加工に関する作業
食品製造や商品加工は、地域の企業や店舗と連携しやすい作業の一つです。
具体的には、次のような作業があります。
- 野菜の加工補助
- 食品の計量
- 商品の袋詰め
- ラベル貼り
- 箱詰め
- 検品
- 調理補助
- 菓子やパンの製造
食品を扱う作業では、衛生管理や異物混入の防止、数量確認などが重要です。
作業手順を守り、一定の品質を維持できれば、取引先との継続契約につながりやすくなります。
ただ、立ち作業が多い、室温が低い、決められた時間までに作業を終える必要があるなど、環境面の負担が生じることもあります。
見学や体験利用の際には、作業内容だけでなく、作業時間や休憩、温度、におい、音なども確認しておきましょう。
4-4.自主製品の製造・販売
事業所が独自の商品を製造し、店舗、イベント、インターネットなどで販売する方法もあります。
自主製品には、次のようなものがあります。
- 焼き菓子やパン
- 弁当や惣菜
- アクセサリー
- 布製品
- 木工品
- 陶芸品
- 農産物
- 加工食品
- イラスト商品
- リサイクル商品
自主製品は、販売価格を事業所で決められるため、商品が売れれば利益率を高められることもあります。
一方、売れ残りや材料費、販売手数料などのリスクもあります。
高い工賃につなげるには、商品を作るだけでなく、販売場所の確保、宣伝、在庫管理、価格設定なども必要です。
利用者が製造だけでなく、接客、写真撮影、商品説明、梱包、発送などに参加できれば、作業の選択肢も広がります。
4-5.本人の経験や得意分野を生かせる作業
以前の仕事や趣味で身につけた経験を、B型事業所の作業で生かせることがあります。
例えば、事務職の経験がある方は、パソコン入力や書類整理に取り組みやすいかもしれません。
調理経験がある方は、食品製造や調理補助で力を発揮できる場合もあります。
絵を描くことやデザインが好きな方は、商品デザインやチラシ制作に参加できることもあります。
自分では仕事に関係しないと思っていた趣味や経験が、事業所の作業に役立つこともあります。
利用前の面談や個別支援計画の作成時には、これまで経験した仕事や好きなことについて伝えてみましょう。
5.工賃を重視してB型事業所を選ぶときの確認ポイント
5-1.月額工賃だけでなく計算方法を確認する
事業所を比較するときは、平均工賃月額だけで判断しないことを意識しておきましょう。
月額工賃が高く見えても、週5日、長時間利用している方が多い事業所であれば、利用時間が短い方の工賃は低くなることがあります。
反対に、平均工賃月額がそれほど高くなくても、短時間利用に対応し、本人の体調に合わせた働き方ができる事業所もあります。
見学時には、次の点を確認しておきましょう。
- 工賃は時間額、日額、出来高のどれか
- 交通費や食事代は工賃と別に支給されるか
- 皆勤手当や作業手当があるか
- 月によって工賃が変わるか
- 欠席した場合はどのように計算されるか
- 作業内容によって工賃が変わるか
- 平均工賃はどのような利用者を含めた数字か
分からない点は遠慮せず、職員へ質問して構いません。
5-2.作業内容が自分に合っているか確認する
工賃が高くても、作業が自分に合わなければ長く続けることが難しくなります。
見学や体験利用では、実際にどのような作業をするのか確認しておきましょう。
確認したい点には、次のようなものがあります。
- 座り作業か立ち作業か
- 作業時間はどのくらいか
- 休憩は取りやすいか
- 作業ノルマがあるか
- 分からないときに質問しやすいか
- 静かな環境か、にぎやかな環境か
- 同じ作業を繰り返すのか
- 複数の作業から選べるか
- パソコンを使う機会があるか
- 施設外での作業があるか
作業の得意不得意だけでなく、音、におい、人の多さ、室温なども継続に影響します。
5-3.通所日数や作業時間を確認する
工賃を増やすには利用日数や作業時間が関係することがありますが、事業所によって利用できる曜日や時間は異なります。
週1日から利用できる事業所もあれば、一定の日数を求められる事業所もあります。
また、午前だけ、午後だけ、短時間から始められるかどうかも確認しておきましょう。
通所時間が長すぎると、作業そのものより移動で疲れてしまうことがあります。
自宅からの距離、乗り換え回数、最寄り駅やバス停からの距離、送迎の有無なども大切です。
5-4.工賃実績だけでなく支援内容も確認する
B型事業所は、作業をして工賃を受け取るだけの場所ではありません。
生活リズムを整える、体調を安定させる、人との関わりに慣れる、作業経験を積むなど、利用目的は人によって異なります。
事業所を選ぶときは、次のような支援内容も確認しておきましょう。
- 体調相談ができるか
- 作業量を調整してもらえるか
- 定期的な面談があるか
- 医療機関や相談支援事業所と連携しているか
- 通所が難しいときに相談できるか
- 在宅利用に対応しているか
- A型や一般就労を目指す支援があるか
- 昼食や送迎のサービスがあるか
工賃が少し高くても、体調面の相談がしにくく、利用を続けられなければ、自分に合った事業所とはいえません。
5-5.見学や体験利用で実際の雰囲気を確認する
ウェブサイトやパンフレットだけでは、事業所の実際の雰囲気までは分かりません。
できれば契約前に見学や体験利用を行いましょう。
見学では、職員の説明だけでなく、利用者がどのような表情で作業しているか、職員へ相談しやすい雰囲気があるかなども確認できます。
一つの事業所だけで決めず、複数の事業所を比較することも大切です。
それぞれの作業内容、工賃、通いやすさ、支援内容を比べることで、自分に合った場所を見つけやすくなります。

6.工賃アップを目指すときの注意点
6-1.工賃だけで事業所を決めない
工賃は事業所を比べる材料の一つですが、金額だけで決めるとミスマッチが起こりやすくなります。
工賃が高い事業所では、作業時間が長い、一定の日数の通所が必要、作業の正確さを求められるなどの条件がある場合もあります。
自分の体調や障がい特性に合わなければ、利用を続けることが難しくなるかもしれません。
工賃、作業内容、支援体制、通いやすさを総合的に確認しておきましょう。
6-2.体調を崩してまで通所日数を増やさない
利用日数を増やせば、工賃が上がることもあります。
しかし、体調を崩してまで無理に日数を増やす必要はありません。
睡眠不足や疲労が続いているときは、作業中のミスや事故につながることもあります。
通所後に強い疲れが残る場合や、翌日まで体調が戻らない場合は、利用時間や作業量を職員と一度相談してみてください。
6-3.作業が速い人だけが評価されるとは限らない
作業スピードは大切ですが、速さだけが評価されるわけではありません。
丁寧な作業、ミスの少なさ、継続して取り組む姿勢、報告や相談ができることも重要です。
企業からの受注作業では、不良品を出さないことが取引先からの信頼につながります。
自分のペースを守りながら、正確に取り組むことを意識しましょう。
6-4.工賃は毎月同じとは限らない
B型事業所の工賃は、毎月同じとは限りません。
祝日の多い月、体調不良で休んだ月、受注量が少ない月などは、工賃が下がることがあります。
自主製品を販売している事業所では、商品の売上やイベントの開催状況によって変動することもあります。
生活費を考えるときは、工賃が変動する可能性も考慮しましょう。
6-5.工賃だけで生活費をまかなうことは難しい
令和6年度の全国平均工賃月額は2万4,141円、大阪市の平均工賃月額は約1万9,614円です。
平均的な工賃だけで、家賃、食費、光熱費、通信費などの生活費をすべてまかなうことは難しいのが現状です。
生活費について不安がある場合は、障害年金、生活保護、各種手当、医療費助成など、利用できる制度がないか、自治体や相談支援専門員へ一度相談してみてください。
7.大阪市で自分に合ったB型事業所を探す方法
7-1.相談支援専門員や自治体へ相談する
B型事業所を探すときは、相談支援専門員、市区町村の障がい福祉窓口、障害者就業・生活支援センターなどへ相談できます。
希望する作業内容、通所できる地域、必要な支援、将来の目標を伝えることで、条件に合う事業所を紹介してもらえることがあります。
7-2.複数の事業所を比較する
大阪市内には多くのB型事業所があり、作業内容や支援方針はさまざまです。
最初に見学した事業所だけで決める必要はありません。
工賃だけでなく、次の項目を比較しましょう。
- 作業内容
- 工賃の計算方法
- 利用時間
- 利用できる曜日
- 通所にかかる時間
- 送迎の有無
- 昼食の有無
- 職員の支援方法
- 事業所の雰囲気
- 将来に向けた支援
7-3.通いやすさや送迎の有無を確認する
実際に通い続けられるかどうかは、自宅からの距離や交通手段にも左右されます。
自宅から事業所までの距離だけでなく、雨の日や体調が悪い日にも通えるかを考えましょう。
電車やバスを利用する場合は、乗り換え回数、混雑状況、駅からの距離なども確認します。
送迎を行っている事業所では、送迎範囲、利用料金、乗車時間、利用できる曜日などを確認しておきましょう。
7-4.将来の目標に合った支援を受けられるか確認する
B型事業所を利用する目的は、人によって異なります。
長く安定してB型を利用したい方もいれば、将来はA型事業所や一般企業で働きたい方もいます。
将来の希望がある場合は、その目標に合った支援を受けられるか確認しておきましょう。
例えば、パソコン操作、ビジネスマナー、履歴書作成、面接練習、職場体験などの支援を行っている事業所もあります。
現在は具体的な目標が決まっていなくても問題ありません。利用を続けるなかで、職員と一緒に考えることができます。
8.大阪市のB型事業所と工賃に関するよくある質問
8-1.通所日数を増やすと工賃も上がりますか?
時間額や日額で工賃を計算する事業所では、利用日数や作業時間が増えると、工賃も増えることがあります。
ただし、出来高方式や独自の評価方式を採用している事業所では、日数だけで工賃が決まらないこともあります。
まずは事業所の計算方法を確認しておきましょう。
また、体調を崩してまで日数を増やさないことを意識しておきましょう。
8-2.工賃の高い事業所へ変更できますか?
必要な手続きを行えば、利用する事業所を変更することは可能です。
ただし、現在の事業所を辞める前に、変更を希望する事業所の見学や体験利用を行い、自分に合うか確認しておきましょう。
受給者証の変更手続きが必要になる場合があるため、相談支援専門員や自治体の窓口へ相談してください。
8-3.作業が遅くてもB型事業所を利用できますか?
作業が遅いことだけを理由に、B型事業所を利用できないわけではありません。
B型事業所では、本人の体調や能力に合わせて作業内容や作業量を調整します。
速さよりも、丁寧さや継続して取り組むことが求められる作業もあります。
見学や体験利用の際に、不安な点を職員へ伝えましょう。
8-4.工賃を受け取ると障害年金に影響しますか?
一般的に、B型事業所の工賃を受け取ったことだけで、障害年金が直ちに減額される仕組みではありません。
ただし、障害年金の種類や更新時の状況、就労状態などによって個別に判断されることがあります。
年金について不安がある場合は、年金事務所や社会保険労務士などの専門家へ確認してください。
8-5.在宅利用でも工賃を受け取れますか?
自治体や事業所の要件を満たし、在宅利用が認められている場合は、在宅で行った作業に対して工賃を受け取れることがあります。
ただし、すべてのB型事業所が在宅利用に対応しているわけではありません。
また、在宅利用には、作業の提供方法、職員との連絡、作業状況の確認、支援記録などの条件があります。
在宅利用を希望する場合は、事業所と自治体へ一度相談してみてください。
9.まとめ:自分に合った働き方を続けながら工賃アップを目指そう
大阪市の就労継続支援B型における令和6年度の平均工賃月額は、約1万9,614円です。全国平均の2万4,141円を下回っていますが、大阪市の平均は令和5年度から上昇しています。
B型事業所の工賃は、作業内容、受注単価、販売実績、利用日数、作業時間、工賃の計算方法などによって異なります。
工賃が高い事業所では、企業との継続取引、高付加価値の作業、自主製品の販売、作業工程の見直し、利用者の得意分野に合わせた作業分担などに取り組んでいます。
利用者本人が工賃アップを目指す場合は、無理に作業スピードや通所日数を増やすのではなく、まずは体調に合った利用を安定して続けることを意識しておきましょう。
そのうえで、自分に合った作業を見つけ、職員に相談しながら担当できる工程を少しずつ増やしていきましょう。
ただし、工賃の高さだけで事業所を選ぶことはおすすめできません。
作業内容、支援体制、通いやすさ、職員へ相談しやすい雰囲気なども確認し、自分が安心して利用を続けられる事業所を選びましょう。
大阪市でB型事業所を探している方は、複数の事業所を見学し、工賃の計算方法や作業内容について質問してみましょう。
自分の体調や得意なことに合った環境を選び、無理のないペースで働く経験を積み重ねることが、長期的な工賃アップや次の目標につながります。

.png)
.png)