就労継続支援B型事業所を探していると、「利用するためにお金がかかるのか」「工賃をもらっても、利用料や交通費でなくなってしまわないか」と気になる方も多いのではないでしょうか。
B型事業所は障害福祉サービスの一つです。制度上は利用料がありますが、所得に応じて月ごとの負担上限額が決められており、実際には利用料が0円になる方も少なくありません。
その一方で、昼食代や交通費、作業に必要な物の購入費などは、利用料とは別に必要になることがあります。作業で受け取る工賃も、一般企業の給与とは仕組みが異なります。
毎月いくら必要になるかを知るには、「障害福祉サービスの利用料」「通所に伴う実費」「受け取る工賃」を分けて考えることが大切です。この記事では、それぞれの仕組みを順番に整理します。
目次
- 1.就労継続支援B型の利用にはお金がかかる?
- 2.B型事業所の利用料の基本的な仕組み
- 3.所得区分ごとの負担上限月額
- 4.利用料以外にかかる可能性がある費用
- 5.B型事業所でもらえる工賃
- 6.工賃と税金・扶養の関係
- 7.障害年金や生活保護を受けている場合
- 8.B型事業所で毎月必要になる金額の例
- 9.利用開始前に確認したいお金のこと
- 10.だいこん畑へ相談するときに確認できること
- 11.よくある質問
- 12.まとめ|費用を整理して無理のない通所を考えよう
1.就労継続支援B型の利用にはお金がかかる?
1-1.B型事業所は障害福祉サービスの一つ
就労継続支援B型は、障がいや病気、体調面の事情などにより、一般企業で雇用契約を結んで働くことが難しい方に、作業の機会と必要な支援を提供する障害福祉サービスです。
利用者は、職員の支援を受けながら、軽作業、食品関連作業、清掃、パソコン作業、商品の梱包や出品などに取り組みます。働く練習だけでなく、生活リズムを整えること、人と関わる機会をつくること、外出のきっかけを増やすことも利用目的になります。
障害福祉サービスには利用者負担の仕組みがあります。基本はサービス費用の1割負担ですが、所得に応じた負担上限月額が設定されるため、1割分をそのまま支払うわけではありません。
1-2.利用料が0円になる人もいる
生活保護を受けている世帯や市町村民税非課税世帯では、障害福祉サービスの負担上限月額は0円です。この場合、B型事業所を利用しても、サービス利用料の自己負担は原則として発生しません。
「B型事業所は無料で利用できる」と聞くことがありますが、正確には、所得区分によって利用料が0円になる方がいるという意味です。昼食代や交通費、行事費などまで、すべて無料になるとは限りません。
費用を確認するときは、利用料だけを見るのではなく、通所に伴う実費も含めて考える必要があります。
1-3.工賃と利用料は別に考える
B型事業所では、作業に取り組んだ対価として工賃が支払われます。工賃は、事業所を利用するために支払う利用料とは別のお金です。
利用料が0円の方は、作業で得た工賃を受け取り、必要に応じて昼食代や交通費などを支払います。利用料が発生する方は、利用料を支払いながら、別に工賃を受け取ります。
「工賃から利用料が必ず引かれる」と決まっているわけではありません。請求方法や支払方法は事業所によって異なるため、契約時に確認しておくと安心です。
2.B型事業所の利用料の基本的な仕組み
2-1.原則1割負担とは
障害福祉サービスでは、サービス提供にかかった費用のうち、原則として1割を利用者が負担します。残りの費用は公費でまかなわれます。
ここで注意したいのは、利用者が事業所の家賃や職員の人件費を直接負担するわけではないことです。自治体が支給決定した内容に基づいてサービスが提供され、制度上計算された利用者負担額が請求されます。
実際の金額は、利用日数、サービス内容、所得区分などによって変わります。同じ事業所に通っている方でも、請求額が同じとは限りません。
2-2.負担上限月額は毎月の定額料金ではない
負担上限月額は、1か月に支払う利用料の上限です。たとえば、上限が9,300円の方でも、実際に計算された利用料が5,000円であれば、支払うのは5,000円です。
反対に、計算上の利用料が上限を超えた場合は、原則として上限額までの負担になります。毎月必ず9,300円や37,200円を支払う定額制ではありません。
受給者証に記載された金額を見て「毎月この金額が必要」と思い込まず、実際の請求方法を事業所に聞いておきましょう。
2-3.利用日数が増えたときの考え方
負担上限月額が0円の方は、利用日数が増えてもサービス利用料は原則0円です。上限額が設定されている方は、上限に達するまで利用料が増えることがあります。
一方、交通費や昼食代は通所した日数に応じて増えるのが一般的です。週2日から週5日に通所日数を増やすと、工賃が増える可能性がありますが、交通費や昼食代も増えます。
通所日数を考えるときは、体調だけでなく、毎月の支出と工賃のバランスも見ておくと現実的です。

3.所得区分ごとの負担上限月額
3-1.生活保護受給世帯と非課税世帯
生活保護受給世帯と市町村民税非課税世帯の負担上限月額は0円です。障害年金を主な収入として生活している方や、前年の所得が一定額以下の方は、非課税世帯に該当することがあります。
ただし、障害年金を受けていれば必ず非課税になるわけではありません。ほかの収入や世帯状況によって判定が変わります。
自分がどの区分に該当するかは、障害福祉サービス受給者証で確認できます。
3-2.市町村民税課税世帯
市町村民税課税世帯では、所得状況などにより、負担上限月額が9,300円または37,200円になる場合があります。
市町村民税の所得割額が16万円未満の世帯では、負担上限月額は9,300円です。ただし、20歳以上の入所施設利用者やグループホーム利用者などは扱いが異なります。それ以外の課税世帯では、負担上限月額が37,200円となります。
収入額だけを見て区分を判断することはできません。市町村民税の所得割額や控除、利用しているサービスなどが関係するため、正確な金額は自治体の障がい福祉担当窓口または受給者証で確認してください。
3-3.成人の場合の「世帯」の範囲
18歳以上の方が障害福祉サービスを利用する場合、所得判定上の世帯は、原則として本人と配偶者です。両親と同居していても、成人した本人に配偶者がいなければ、親の収入を含めずに判定されるのが基本です。
配偶者がいる場合は、本人と配偶者の所得状況が確認されます。障害児の場合は世帯の考え方が異なります。
同居家族の収入が高いから利用料も高くなると思い込まず、まず受給者証の負担上限月額を確認しましょう。
4.利用料以外にかかる可能性がある費用
4-1.昼食代
昼食の扱いは事業所によって異なります。弁当を持参するところ、給食や弁当を注文できるところ、一定の条件で昼食が提供されるところがあります。
有料の場合は、1食ごとの支払いだけでなく、月末にまとめて精算することもあります。欠席の連絡が遅れると、昼食のキャンセル料が必要になる場合もあります。
見学時には、1食の金額、持参できるか、欠席時の扱い、食物アレルギーへの対応を確認しておくと安心です。
4-2.交通費と送迎
公共交通機関で通所する場合、電車代やバス代が毎月必要です。往復500円で月20日通うと、交通費だけで1万円になります。
自治体の交通費助成や福祉乗車証を利用できる方もいます。事業所が送迎を行っている場合は、通所の負担を抑えられることがあります。
送迎には対象地域や集合場所、時間の決まりがあります。自宅前まで来てもらえるとは限らないため、利用したい店舗へ具体的に確認してください。
4-3.作業用品や行事費
作業内容によっては、上履き、作業着、エプロン、帽子などを用意することがあります。事業所が貸与する物と、利用者が購入する物を分けて聞いておきましょう。
レクリエーションや外出行事では、参加費、入場料、飲食代などがかかる場合があります。参加が任意か、費用はいくらかも確認しておくと、予定外の出費を減らせます。
契約書や重要事項説明書には、利用者が負担する実費が記載されています。分からない項目は、そのままにせず説明を受けましょう。
5.B型事業所でもらえる工賃
5-1.工賃は給与ではない
B型事業所では、原則として雇用契約を結びません。作業の対価として受け取るお金は、給与ではなく工賃と呼ばれます。
雇用契約を結ぶA型事業所では最低賃金が適用されますが、B型の工賃には最低賃金がそのまま適用されません。そのため、一般企業やA型事業所の給与と比べると、金額は低くなる傾向があります。
B型は高い収入だけを目的とするサービスではなく、体調に合わせて働く練習を続ける場所でもあります。
5-2.工賃の計算方法
工賃の計算方法は、事業所によって違います。時間単価、日額、出来高、作業内容ごとの単価など、さまざまな方法があります。
同じ週3日利用でも、1日2時間作業する場合と、午前から午後まで作業する場合では、工賃が異なることがあります。遅刻、早退、欠席によっても支給額は変わります。
平均工賃だけでなく、「自分が予定している利用日数なら月にどのくらいになるか」を聞くと、実際の生活に当てはめやすくなります。
5-3.事業所によって工賃が違う理由
工賃は、事業所が企業から受けた作業や商品の販売など、生産活動によって得た収入を基に支払われます。具体的には、生産活動による収入から、材料費など生産活動に必要な経費を差し引いた金額が工賃の原資になります。
そのため、仕事の受注量、商品の売上、作業内容、材料費などによって、事業所ごとの工賃に違いが生じます。
高い工賃は魅力の一つですが、工賃だけで事業所を決めると、作業内容や通所時間が自分に合わないことがあります。
通いやすさ、職員の支援、休憩の取りやすさ、事業所の雰囲気も含めて比較することが大切です。

6.工賃と税金・扶養の関係
6-1.工賃にかかる税金はほかの所得も含めて判断される
工賃も収入に関係するお金ですが、受け取るたびに所得税や社会保険料が自動的に引かれるとは限りません。
税金は、工賃以外の収入、必要経費、所得控除などを含めて計算されます。工賃が少額で、ほかに課税対象となる収入がほとんどなければ、所得税が発生しないこともあります。
工賃の明細は保管し、確定申告が必要か分からない場合は、税務署や市区町村の税務窓口に確認してください。
6-2.家族の扶養への影響
家族の扶養に入っている場合、年間収入によっては、税法上の扶養や健康保険上の扶養に影響することがあります。
税金の扶養と健康保険の扶養では、基準が同じではありません。障害年金を収入として扱うかどうかも制度によって異なります。
工賃が増えてきたときは、家族の勤務先の健康保険組合や税務署など、該当する制度の窓口へ確認するのが確実です。
7.障害年金や生活保護を受けている場合
7-1.障害年金を受けながら利用できる
障害年金を受給している方も、B型事業所を利用できます。B型事業所で工賃を受け取ったという理由だけで、障害年金が直ちに停止されるわけではありません。
ただし、20歳前の傷病による障害基礎年金には、本人所得による支給制限があります。工賃以外の収入も含めて所得が一定額を超えた場合は、年金の一部または全部が支給停止になる可能性があります。
障害年金は、障がいの状態や日常生活、就労状況などを踏まえて判断されます。受給している年金の種類や更新への影響が分からない場合は、年金事務所や社会保険労務士へ相談してください。
7-2.生活保護では工賃の収入申告が必要
生活保護を受けている方が工賃を受け取った場合は、原則として収入申告が必要です。金額が少なくても、申告しなくてよいと自己判断しないようにしましょう。
工賃の明細を保管し、担当のケースワーカーへ提出します。交通費などの必要経費がどのように扱われるかも、あわせて確認してください。
書類の見方が分からないときは、事業所の職員や相談支援専門員に相談することもできます。
8.B型事業所で毎月必要になる金額の例
8-1.利用料0円・送迎あり・昼食持参の場合
負担上限月額が0円で、送迎を利用し、昼食を自宅から持参する場合、毎月の支出は比較的少なくなります。飲み物や個人で使う日用品、行事に参加するときの費用などが主な支出です。
この場合でも、送迎の集合場所までの交通費や、作業に必要な物の購入費が発生することがあります。
「利用料0円」という情報だけで判断せず、ほかに必要な費用を一度書き出してみましょう。
8-2.交通費と昼食代が必要な場合
往復交通費が500円、昼食代が1食300円で、月20日通所するとします。交通費は1万円、昼食代は6,000円で、合計1万6,000円です。
利用料が0円でも、通所に伴う支出は月1万円を超えることがあります。工賃が月2万円なら、単純計算では4,000円が残ります。
実際には欠席日数や工賃の計算方法によって変わるため、目安として考えてください。
8-3.負担上限月額9,300円の場合
仮に利用料が9,300円、交通費が8,000円、昼食代が5,000円なら、毎月の支出は2万2,300円です。工賃が2万円であれば、工賃だけでは支出をすべて賄えません。
このような場合は、送迎の対象になるか、交通費助成を利用できるか、昼食を持参できるかを確認すると負担を減らせることがあります。
工賃だけでなく、通所によって得られる生活リズムや支援も含めて、利用の意味を考えることが大切です。

9.利用開始前に確認したいお金のこと
9-1.受給者証の負担上限月額
最初に確認したいのは、受給者証に記載された負担上限月額です。受給者証がまだない場合は、自治体の障がい福祉担当窓口へ相談します。
契約時には、利用料の締め日、請求日、支払方法も確認してください。口座振替、振込、現金払いなど、事業所によって異なります。
9-2.実費と工賃の詳細
昼食代、交通費、送迎費、作業用品、行事費など、利用料以外に必要な費用を聞いておきましょう。
工賃については、計算方法、締め日、支払日、欠席や早退時の扱いを確認します。平均額だけでなく、自分の予定日数での目安を聞くことがポイントです。
9-3.家族や支援者と一緒に確認する
本人だけで契約内容を確認することが難しい場合は、家族や相談支援専門員などに同席してもらえます。
「利用料以外に毎月必要になる費用を教えてください」と質問すると、確認漏れを減らせます。説明を受けた内容は、あとで見返せるようにメモしておくと安心です。
10.だいこん畑へ相談するときに確認できること
10-1.見学前でも相談できる
だいこん畑の利用を検討している方は、利用日数、作業内容、通所方法、費用について、見学前に問い合わせることができます。
受給者証を持っている場合は、負担上限月額を確認しておくと、利用料について具体的な案内を受けやすくなります。まだ受給者証がない方も、利用までの流れを相談できます。
10-2.店舗ごとの条件を確認する
だいこん畑では、大阪市内で複数の事業所を運営しています。作業内容や送迎範囲、昼食の扱いなどは、利用を希望する店舗によって異なる場合があります。
見学時には、週何日から利用できるか、1日の利用時間、工賃の計算方法、必要な持ち物を確認してください。実際の作業場所を見ると、自分が通う姿をイメージしやすくなります。
10-3.無理のない通い方を相談する
毎日通えるか不安な方は、少ない日数や短い時間から始められるか相談してみましょう。最初から工賃を増やすことだけを考えるより、体調を崩さず通い続けられる日数を見つけることが大切です。
費用、作業、体調の三つを一緒に考えることで、自分に合う利用方法が見つかりやすくなります。
11.よくある質問
Q1. B型事業所は無料で利用できますか?
生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯では、障害福祉サービスの負担上限月額が0円となるため、利用料は原則かかりません。ただし、昼食代、交通費、作業用品などの実費が必要になる場合があります。
Q2. B型事業所の利用料は工賃から引かれますか?
工賃と利用料は別に計算されます。工賃から自動的に利用料を差し引くか、別に請求するかは事業所の支払方法によって異なるため、契約時に確認してください。
Q3. B型事業所に週5日通うと利用料は高くなりますか?
利用日数が増えると、上限に達するまで利用料が増える場合があります。ただし、所得に応じた負担上限月額を超えることはありません。負担上限月額が0円の方は、利用日数が増えてもサービス利用料は原則0円です。
Q4. B型事業所の工賃だけで生活できますか?
B型事業所の工賃は一般企業の給与とは仕組みが異なり、工賃だけで生活費をすべて賄うことが難しい場合があります。厚生労働省が公表した令和6年度の全国平均工賃月額は2万4,141円です。実際の工賃は、事業所の生産活動、作業内容、利用日数、作業時間などによって異なります。
12.まとめ|費用を整理して無理のない通所を考えよう
B型事業所の利用料は、原則1割負担ですが、所得に応じて負担上限月額が決まります。生活保護受給世帯と市町村民税非課税世帯では、利用料が0円になるのが基本です。
利用料が0円でも、昼食代、交通費、作業用品、行事費などが必要になることがあります。反対に、送迎や昼食提供を利用できれば、毎月の負担を抑えられる場合もあります。
B型事業所で受け取る工賃は給与とは異なり、利用日数、作業時間、作業内容、事業所の生産活動によって変わります。毎月必要な金額を知るには、利用料、実費、工賃を分けて計算してください。
事業所を選ぶときは、工賃の金額だけでなく、通いやすさ、作業内容、職員の支援、体調に合わせた利用ができるかも大切です。
だいこん畑では、利用前の見学や相談を受け付けています。費用について分からないことがある場合は、受給者証や現在の通所方法を確認したうえで相談し、自分にとって無理のない利用方法を考えていきましょう。

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