はじめに
「働きたい気持ちはあるのに、仕事が長く続かない」「何度も辞めてしまう自分は甘えているのではないか」。こうした悩みを抱えると、退職した事実だけを見て自分を責めてしまいがちです。しかし、仕事が続かない背景には、体調の波、睡眠の乱れ、職場環境との相性、業務量、人間関係、感覚過敏、コミュニケーションの難しさなど、さまざまな事情があります。気合いや根性だけで解決できる問題とは限りません。
大切なのは、「なぜ続かなかったのか」を責める材料にするのではなく、次の働き方を考えるための情報として整理することです。一般企業でフルタイム勤務を続けることだけが、働くことの正解ではありません。短時間から始める、週に数日通う、支援員に相談しながら作業を選ぶなど、自分に合う段階を踏むことで、働く感覚を少しずつ取り戻せる方もいます。
ここからは、「どうして続かなかったのか」を一つずつほどきながら、次の働き方を探していきます。就労継続支援B型でできることや、見学時に確かめたい点、利用までの流れも取り上げます。大阪市で働く場所を探しているご本人はもちろん、「本人にどんな声をかければよいか分からない」と悩むご家族にも読んでいただきたい内容です。
目次
- 1. 仕事が続かなかった原因を整理することから始めよう
- 2. 仕事が続かない背景を整理する
- 3. 就労継続支援B型とは
- 4. B型事業所で自分に合う働き方を身につける
- 5. 自分に合うB型事業所を選ぶポイント
- 6. B型事業所を利用するまでの流れ
- 7. だいこん畑βで自分に合う働き方を探す
- 8. 働き続けるために日常でできる工夫
- 9. 仕事が続かないと悩む方からよくある質問
- 10. まとめ
1. 仕事が続かなかった原因を整理することから始めよう
1-1. 「続かなかった」という結果だけで自分を責めない
仕事を辞めた回数が増えると、「自分には忍耐力がない」「周りは働けているのに」と考えてしまうことがあります。しかし、続かなかった理由を確認せずに、すべてを本人の意志の弱さに結びつけるのは適切ではありません。たとえば、朝に起きられない背景に不眠や薬の影響がある場合、長時間勤務で症状が悪化する場合、指示が曖昧な職場で混乱しやすい場合では、必要な対策がそれぞれ異なります。
たとえば、入社直後は毎日通えていたのに、二、三か月目から欠勤が増えたケースでは、慣れによる怠けではなく、緊張で無理を重ねていた反動が出ていることがあります。最初に頑張れたことと、その働き方を長く続けられることは、同じではありません。
退職したという事実だけでは、「本人に根気がなかった」のか「勤務条件が合わなかった」のかは分かりません。朝9時の出勤は難しくても10時なら通えたかもしれませんし、接客では疲れ切っても、手順の決まった軽作業なら落ち着いて取り組めたかもしれません。勤務時間、仕事内容、通勤、人間関係、休憩の取りやすさを分けて振り返ると、次に避けたい条件と、残したい条件が見えてきます。
1-2. 「働きたいけど続かない」は矛盾ではない
働きたいという気持ちがあっても、心身の状態が追いつかないことはあります。「やる気があるなら毎日通えるはず」とは限りません。精神障がいや発達障がい、知的障がい、身体障がい、難病などがある方は、体調や集中力に波が出ることがあります。また、障がいに関する診断を受けていない方でも、長期間の離職や強い不安、人との関わりへの苦手意識などにより、いきなり一般就労へ戻ることが難しい場合があります。
働く意欲と、現時点で安定して働ける時間は別のものです。最初は週1日や短時間から始め、安定してきたら日数や作業量を調整する方法もあります。小さなペースで始めることは逃げではなく、自分の状態を守りながら継続を目指すための現実的な選択です。
1-3. 休むことと諦めることは同じではない
体調が悪い日に休むと、「また休んでしまった」と落ち込む方がいます。しかし、無理をして状態を大きく崩し、長期間働けなくなるよりも、早めに休み、回復後に再開するほうが継続につながることがあります。必要な休息を取ることは、働くことを諦める行為ではありません。
重要なのは、休みを責めるのではなく、休む前にどのような変化があったかを記録することです。睡眠時間、食欲、服薬、気分、身体症状、通勤時の疲れなどを簡単に残すと、自分の調子を把握しやすくなります。支援員や医療機関へ相談するときにも、具体的な情報として役立ちます。

2. 仕事が続かない背景を整理する
2-1. 体調や精神状態の波
うつ病、双極性障がい、統合失調症、不安障がいなどがある方は、症状や体調によって、気分、意欲、集中力、睡眠などに波が見られることがあります。ただし、症状の現れ方や働くうえで必要な配慮は一人ひとり異なります。調子の良い日にできたことが、翌日も同じようにできるとは限りません。症状が外から見えにくいため、周囲に理解されにくく、本人も「怠けているだけ」と思い込んでしまうことがあります。
体調の波がある場合は、毎日同じ勤務量を前提にするより、短時間勤務、休憩の確保、作業量の調整、通院日の配慮などができる環境が向いていることがあります。支援のある場所では、その日の状態を伝え、無理のない作業へ変更できる場合があります。
2-2. 発達障がいの特性と職場環境の不一致
発達障がいのある方は、口頭だけの指示を覚えにくい、複数の作業を同時に進めることが苦手、急な予定変更で混乱する、音や光に強く疲れるといった特性が見られることがあります。一方で、手順が明確な作業、繰り返し作業、興味のある分野では力を発揮できる方もいます。
仕事が続かない原因が本人の能力不足ではなく、説明方法や職場環境との不一致であることは少なくありません。写真付きの手順書、作業を一つずつ伝える工夫、静かな席、定期的な確認などがあれば、続けやすくなる場合があります。自分の苦手だけでなく、「どのような条件なら取り組みやすいか」を知ることが大切です。
2-3. 人間関係やコミュニケーションの負担
仕事内容そのものより、人間関係で疲れてしまう方もいます。雑談が苦手、相手の表情を読み取りすぎて疲れる、質問するタイミングが分からない、注意を受けると強く落ち込むなど、負担の形は人それぞれです。職場で困っても相談できず、限界まで我慢した結果、突然退職することもあります。
「仕事は嫌いではなかったのに、休憩時間が一番つらかった」という話もあります。作業中は役割が決まっていても、休憩中の雑談には正解がなく、気を遣い続けてしまうからです。こうした負担は勤務表には表れませんが、働き続けられるかどうかを大きく左右します。
相談先が明確で、困ったときに支援員が間に入れる環境では、問題を小さい段階で整理しやすくなります。「分からないと言う練習」「体調を伝える練習」「注意を受けたときに確認する練習」も、働き続けるために必要な力です。
2-4. 勤務時間・通勤・作業内容の負担
週5日、1日8時間という働き方が合わない方もいます。勤務時間だけでなく、満員電車、乗り換え、着替え、準備、帰宅後の疲労まで含めると、想像以上に負担が大きいことがあります。また、立ち仕事、速さを求められる作業、電話対応など、特定の業務が強い負担になる場合もあります。
「働けるか、働けないか」の二択ではなく、何時間なら集中できるか、週何日なら回復できるか、どの作業なら落ち着いて取り組めるかを確認しましょう。条件を細かく分けることで、自分に合う働き方が見えやすくなります。
3. 就労継続支援B型とは
3-1. 雇用契約を結ばずに働く機会を得る福祉サービス
就労継続支援B型は、障がいや体調などの理由により、一般企業などで雇用契約に基づいて働くことが難しい方を対象に、生産活動などの機会を提供し、就労に必要な知識や能力の向上・維持を支援する障がい福祉サービスです。原則として事業所との雇用契約は結ばず、作業の対価として工賃を受け取ります。雇用契約に基づいて給与を受け取る働き方とは、仕組みが異なります。
B型事業所は、すぐに一般企業で働くことが難しい方が、体調や生活リズムを整えながら作業経験を積む場所として利用されています。ただし、B型事業所を利用できるかどうかや、利用前に就労選択支援などの手続きが必要になるかは、年齢、就労経験、障がいや体調の状態などによって異なります。まずは、お住まいの市区町村の障がい福祉担当窓口、相談支援事業所、希望するB型事業所へ相談してください。
3-2. A型事業所や一般就労との違い
就労継続支援A型は、事業所と雇用契約を結び、労働者として働きながら支援を受けるサービスです。B型は雇用契約を結ばないため、本人の体調や状況に応じて、通所日数や作業時間を相談できる事業所もあります。一般就労では、企業の就業規則や雇用条件に基づき、担当業務を遂行することが求められます。
A型、B型、一般就労は、優劣で並べるものではありません。今の体調で何日通えるか、どの程度の支援が必要か、収入をどこまで重視するかによって選択は変わります。B型で生活リズムを整えてからA型へ進む方もいれば、慣れた環境で長く作業を続けることを目標にする方もいます。大切なのは、周囲の基準ではなく、本人が無理なく続けられるかどうかです。
3-3. B型事業所で受けられる主な支援
B型事業所では、作業の説明や技術指導だけでなく、通所の安定、生活リズム、対人関係、体調管理などについて相談できる場合があります。支援内容は事業所ごとに異なりますが、作業を細かく分ける、休憩を取りやすくする、作業量を調整する、面談で困りごとを確認するなど、一人ひとりに合わせた支援が行われます。
将来的なステップアップを希望する場合は、A型事業所、就労移行支援、ハローワーク、医療機関などと連携しながら次の進路を考えることもあります。利用前には、「生活面の相談はできるか」「体調不良時はどう対応するか」「次の就労への支援はあるか」を確認しておくと安心です。
4. B型事業所で自分に合う働き方を身につける
4-1. 短時間・少ない日数から始める
長く仕事を休んでいた方や、毎日の通勤に不安がある方は、最初から高い目標を立てると負担が大きくなります。事業所によっては、週1日や短時間から相談できる場合があります。まずは決めた日に外出する、開始時間に間に合う、作業後に帰宅して休むという一日の流れを経験することが、働くための土台になります。
週1日の通所を数週間続けられたからといって、すぐに日数を増やす必要はありません。日数を増やす場合も、支援員と相談しながら一日ずつ調整し、通所した日の夜や翌朝まで含めて疲れ方を確認します。負担が大きければ元に戻して構いません。予定を減らすことも、長く続けるための調整です。
4-2. 自分に合う作業を知る
B型事業所の作業には、袋詰め、シール貼り、検品、仕分け、梱包、食品加工の補助、清掃、農作業、パソコン入力、商品の撮影や出品など、さまざまな種類があります。事業所によって内容は異なります。実際に取り組むことで、「手順が決まった作業は落ち着く」「細かい検品は得意」「長時間の立ち作業は疲れやすい」といった特徴に気づけます。
得意・不得意を知ることは、将来の職種選びにも役立ちます。苦手な作業があっても、それだけで働けないと判断する必要はありません。作業時間、道具、説明方法、姿勢などを変えることで取り組みやすくなる場合もあります。
4-3. 報告・連絡・相談を練習する
働き続けるためには、作業技術だけでなく、困ったときに伝える力も重要です。「作業方法が分かりません」「少し休憩したいです」「今日は体調が良くありません」と伝えられると、無理やミスを減らしやすくなります。しかし、これまでの職場で質問を怒られた経験がある方や、人に頼ることが苦手な方は、相談自体に不安を感じることがあります。
支援員のいる環境で、短い言葉や決まった伝え方から練習すると、少しずつ相談しやすくなります。自分から話すことが難しい場合は、メモやチェック表を使う方法もあります。
4-4. 成功と失敗を小さく振り返る
一日の終わりに「できたこと」と「負担だったこと」を一つずつ振り返ると、自分に合う働き方が分かりやすくなります。たとえば、「30分は集中できた」「休憩後は作業に戻れた」「大きな音で疲れた」など、具体的に記録します。できなかった点だけを見るのではなく、できた行動を確認することが自信につながります。
振り返りは反省会ではありません。「午前中は集中できた」「説明を一度で理解するのは難しかった」「休憩を取ると戻れた」といった事実を集める作業です。支援員と共有しておくと、作業量や通所日数を感覚だけで決めずに済み、日々の支援にも反映しやすくなります。

5. 自分に合うB型事業所を選ぶポイント
5-1. 作業内容だけでなく環境を見る
事業所を選ぶときは、興味のある作業があるかだけでなく、室内の音、広さ、席の間隔、職員への相談のしやすさ、利用者同士の距離感なども確認しましょう。ホームページの情報だけでは分からないため、見学や体験利用が重要です。
見学時には、実際の作業風景を見て、自分がその場所で過ごす様子を想像します。静かな環境が必要な方と、適度に人の気配があるほうが安心する方では、合う事業所が異なります。
5-2. 通所日数・時間を相談できるか
「週何日から利用できるか」「午前だけでもよいか」「体調に合わせて変更できるか」を確認します。事業所の方針や作業の都合により、希望どおりにならない場合もあります。無理に合わせるのではなく、自分の生活リズムと通所条件が現実的に合うかを考えましょう。
通所時間だけでなく、家を出る時間や移動時間も含めて検討する必要があります。片道の移動が長いと、作業前後の疲れが大きくなることがあります。
5-3. 体調不良時の対応を確認する
欠席や遅刻をしたときの連絡方法、体調が悪くなったときに休める場所、作業量の変更、医療機関との連携などを確認します。体調の波がある方にとって、「調子を崩したら利用できなくなるのではないか」という不安は大きいものです。
無断欠席を避け、連絡を取りながら調整する仕組みがあるか、支援員がどのように声をかけるかを聞いておくと安心です。
5-4. 工賃と算定方法を確認する
B型事業所では、作業の対価として工賃が支払われます。金額や計算方法は事業所によって異なります。利用日数、作業時間、作業内容、工賃の算定方法などが関係する場合があるため、見学時に説明を受けましょう。
工賃の高さだけで事業所を決めると、通所条件や支援内容が合わず、続けにくくなることもあります。工賃、作業、支援、通いやすさを総合的に考えることが大切です。
5-5. 見学・体験で確認したい質問
見学や体験利用では、①主な作業内容、②一日の流れ、③利用できる曜日と時間、④休憩方法、⑤体調不良時の対応、⑥工賃の計算方法、⑦昼食や送迎の有無、⑧職員への相談方法、⑨利用開始までの手続き、⑩将来のステップアップ支援を確認するとよいでしょう。
見学では緊張して、聞こうと思っていたことが出てこない場合があります。質問をスマートフォンのメモに入れておく、家族や相談支援専門員に同席してもらう、帰宅後に電話で確認する、といった方法で構いません。その場で利用を決める必要もありません。
6. B型事業所を利用するまでの流れ
6-1. まずは相談先を見つける
利用を考えたら、住んでいる市区町村の障がい福祉担当窓口、相談支援事業所、医療機関、希望するB型事業所などへ相談します。障がい福祉サービスの利用には、市区町村による支給決定や障がい福祉サービス受給者証が必要です。必要書類や手続きは状況によって異なります。
診断書や障がい者手帳の有無だけで自己判断せず、まず相談することが大切です。利用対象となるか、どの制度が合うかを確認してもらいましょう。
6-2. 事業所の見学・体験を行う
候補の事業所を見学し、可能であれば体験利用を行います。体験では、作業の難しさだけでなく、疲れ方、職員への話しかけやすさ、休憩後に戻れるか、通勤に無理がないかを確認します。
体験当日は作業ができたとしても、それだけで判断しないことが大切です。帰宅後に食事が取れたか、翌朝に起きられたか、強い緊張が残っていないかも確認してください。「できたか」だけでなく、「続けられそうか」を見るためです。
一つの事業所だけで決めず、複数を比較することもできます。最初の見学で緊張し、普段どおりに判断できないこともあるため、帰宅後の疲れや翌日の体調まで見ておくと参考になります。
6-3. サービス等利用計画と支給決定
障がい福祉サービスを利用する際は、サービス等利用計画案の作成などを経て、市区町村が支給決定を行います。相談支援専門員に計画作成を依頼する場合と、本人や家族がセルフプランを作成する場合があります。自治体や本人の状況によって手続きが異なるため、窓口の案内に従います。
また、年齢や就労経験などによっては、就労選択支援によるアセスメントが必要になる場合があります。就労選択支援は2025年10月に開始されており、B型事業所を利用する際の手続きは本人の状況によって異なります。詳しくは、大阪市やお住まいの自治体の障がい福祉担当窓口へ確認してください。
6-4. 契約・個別支援計画・利用開始
支給決定後、事業所と利用契約を結びます。利用目的、通所日数、作業、支援方法などを話し合い、個別支援計画を作成します。最初から完璧な計画を作る必要はありません。利用後の体調や作業状況に応じて見直していきます。
利用開始直後は緊張や疲れが出やすい時期です。最初の数週間は予定を詰めすぎず、帰宅後に休める時間を確保するとよいでしょう。
7. だいこん畑βで自分に合う働き方を探す
7-1. 週1日・短時間から相談できる環境
だいこん畑βでは、体調や生活状況に応じて、週1日からの通所や短時間利用について相談できます。実際の利用日数や時間は、受給者証の支給内容、本人の希望や体調、事業所の受け入れ状況などを踏まえて相談します。毎日通うことに不安がある方や、朝の生活リズムが安定しない方も、無理のない段階から通所や作業を始められます。
「週1日では意味がないのでは」と心配される方もいますが、決めた曜日に起き、準備をし、事業所へ向かい、作業後に帰宅する。この流れを繰り返すこと自体が、生活リズムや通所習慣を整える大切な経験になります。まず一日を安定させ、その後に次の一日を考えます。
大切にしているのは、通所日数を急いで増やすことではなく、一人ひとりが続けられるペースを見つけることです。体調を確認しながら、少しずつ「できること」を増やしていきます。
7-2. さまざまな作業を通じて得意を見つける
だいこん畑βの各事業所では、軽作業、袋詰め、検品、シール貼り、仕分け、梱包、農作業、商品の出品に関するパソコン作業など、事業所ごとにさまざまな作業があります。作業内容は時期や受注状況によって変わることがあります。
初めての作業は職員が手順を説明し、分からない点を確認しながら進めます。「細かな作業に集中できる」「パソコン作業に興味がある」「立ち作業より座り作業が合う」など、実際の経験を通じて自分の特徴を知ることができます。
7-3. 作業だけでなく生活面の不安も相談する
仕事が続かない背景には、睡眠、通院、服薬、人間関係、家での過ごし方などが関係していることがあります。だいこん畑βでは、作業の進め方だけでなく、通所や生活面の困りごとも職員へ相談できる体制を大切にしています。
一人で抱え込む前に話せる場所があることで、休みが長期化する前に対応しやすくなります。必要に応じて、関係機関と連携しながら支援を検討します。
7-4. A型や一般就労へのステップアップも考えられる
B型事業所の利用が最終地点とは限りません。通所が安定し、作業時間やできる仕事が増えてきた方は、A型事業所や一般就労など、次の段階を検討できます。一方で、無理にステップアップする必要はありません。現在の生活を安定させ、B型で継続して働くことも大切な目標です。
「いつまでに就職するか」だけでなく、「どのような状態なら次へ進めそうか」を職員と一緒に考えます。焦らず、自分のペースで選択肢を広げていくことが重要です。

8. 働き続けるために日常でできる工夫
8-1. 調子を三段階で記録する
体調を細かい点数で管理しようとすると、記録そのものが負担になることがあります。まずは「安定」「少し不調」「休息が必要」の三段階程度で記録してみましょう。睡眠時間、食事、気分、身体症状、外出できたかを一言添えるだけでも、自分の傾向が見えやすくなります。
たとえば、睡眠が短い日が二日続くと作業中の集中が落ちる、通院日の翌日は疲れやすい、人の多い場所へ行った後は休息が必要など、具体的なパターンが分かれば、通所日や作業量を調整できます。記録は自分を採点するためではなく、無理を早めに見つけるための道具です。
8-2. 「最低限できればよい日」を決める
調子が良い日の基準だけで予定を立てると、不調の日にすべてできなくなり、強い挫折感につながります。そこで、通常の目標とは別に「最低限できればよい行動」を決めておく方法があります。たとえば、事業所へ欠席連絡をする、着替える、昼までに食事を取る、支援員の連絡へ返信するなどです。
作業へ参加できない日でも、必要な連絡ができたことは継続の一部です。できなかったことを数えるのではなく、その日に守れた行動を確認すると、生活全体が崩れるのを防ぎやすくなります。
8-3. 予定を増やすときは一つずつ変える
通所が安定すると、日数、時間、作業量を一度に増やしたくなることがあります。しかし、複数の条件を同時に変えると、負担が増えたときに何が原因だったか分かりにくくなります。まず通所日を一日増やし、数週間様子を見る。その後、必要であれば作業時間を延ばすというように、一つずつ試すほうが安全です。
増やした後は、通所中だけでなく、帰宅後や翌日の状態も確認します。通所はできても、翌日一日中寝込む状態が続くなら、現在の負担が大きい可能性があります。支援員と相談し、戻すことも選択肢に入れましょう。
8-4. 家族や支援者と役割を決めておく
家族が心配するあまり、起床、連絡、準備をすべて代わりに行うと、本人が自分でできることまで失われてしまう場合があります。一方で、本人にすべて任せると、調子を崩したときに支援へつながれないこともあります。本人が行うこと、家族が手伝うこと、事業所へ相談することを事前に分けておくと安心です。
たとえば、欠席連絡は原則として本人が行い、連絡できないほど体調が悪いときだけ家族が補助する、通院内容は本人の同意を得て支援員と共有するなど、具体的に決めます。本人の意思を尊重しながら、孤立を防ぐ支え方を考えることが大切です。
8-5. 早めに相談したい変化を知っておく
仕事や通所が途切れる前には、いくつかの変化が現れることがあります。眠れない日が増える、朝の準備に時間がかかる、食欲が落ちる、遅刻が続く、作業中のミスが増える、人と話すことを避ける、帰宅後に何もできないといった変化です。本人にとっては「まだ大丈夫」と感じていても、これらが重なると急に通えなくなることがあります。
自分に起こりやすいサインを二つか三つ決め、見られたら支援員へ伝えるルールを作っておくと安心です。相談した結果、すぐに休むとは限りません。作業を変える、休憩を増やす、通所時間を短くするなど、小さな調整で状態を立て直せる場合があります。
8-6. 他人のペースではなく自分の継続を基準にする
同じ事業所に、自分より長い時間作業できる人や、早くステップアップする人がいると、焦りを感じることがあります。しかし、必要な休息、得意な作業、目標とする生活は人によって異なります。比較によって無理を重ねると、せっかく整ってきた生活リズムを崩すことがあります。
昨日の自分や先月の自分と比べ、通所できた日が増えた、欠席連絡ができた、新しい作業を一つ覚えたなど、自分の変化を確認しましょう。B型事業所での取り組みの成果は、作業量だけでは測れません。安定して相談できること、無理をする前に休めることも、長く働くための大切な力です。
9. 仕事が続かないと悩む方からよくある質問
9-1. 障がい者手帳がなくても相談できますか
障がい福祉サービスの対象となるかどうかは、障がい者手帳の有無だけで決まるとは限りません。診断、心身の状態、自治体の確認などによって利用できる場合があります。必要な書類は個別に異なるため、居住地の障がい福祉担当窓口や事業所へ相談してください。
9-2. 何度も仕事を辞めていても利用できますか
退職回数だけを理由に相談を断念する必要はありません。むしろ、どのような職場で、何が負担になり、どの時期に続けにくくなったかを整理することが、支援方法を考える材料になります。分かる範囲で職歴や困りごとを伝えましょう。
9-3. 毎日通えなくても大丈夫ですか
必要な通所日数や時間は事業所によって異なります。だいこん畑βでは、体調や生活状況に応じて、週1日からの通所や短時間利用について相談できます。実際の利用日数や時間は、受給者証の支給内容や本人の状況などを踏まえて相談します。体調や生活状況を伝え、無理のない利用計画を検討してください。
9-4. 作業についていけるか不安です
見学や体験利用で実際の作業を確認できます。作業を細かく分けてもらう、見本を見ながら進める、職員と一緒に確認するなど、支援方法を相談できます。速さだけでなく、丁寧さや継続性が評価される作業もあります。
9-5. 家族だけで相談してもよいですか
本人がすぐに見学へ行くことが難しい場合、まず家族が事業所へ問い合わせる方法もあります。ただし、利用に向けては本人の希望や状態を確認することが大切です。本人が安心して参加できる方法を事業所と相談しましょう。
10. まとめ
10-1. 続けられる条件を探すことが次の一歩になる
仕事が続かないことは、必ずしも甘えではありません。体調、障がい特性、勤務時間、作業内容、通勤、人間関係など、続けにくさには具体的な理由があります。自分を責めるだけでは、必要な支援や環境調整が見えにくくなります。
就労継続支援B型では、短時間や少ない日数から作業を始め、生活リズム、体調管理、報告・連絡・相談、作業スキルなどを段階的に身につけることができます。大切なのは、周囲と同じ働き方を無理に目指すことではなく、自分が続けられる条件を知ることです。
10-2. 大阪市で自分に合う働き方を探している方へ
大阪市で「働きたいけれど続けられるか不安」「短時間や少ない日数から作業を始めたい」と考えている方は、だいこん畑βへご相談ください。見学では、作業内容、通所日数、体調不良時の対応、利用までの流れなどを確認できます。
問い合わせや見学をしたからといって、その場で利用を決める必要はありません。室内の雰囲気、通いやすさ、職員への話しかけやすさを確かめ、「ここならもう一度来られそうか」を考えてみてください。これまで仕事が続かなかった経験は、隠すべき失敗ではなく、次の環境を選ぶための手がかりです。

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