障がい者就労支援とSDGsは、どのようにつながっているのでしょうか。障がいのある方が働く機会を得ることは、本人の収入や社会参加だけでなく、企業や地域にとっても意味のある取り組みです。
SDGsには「働きがいも経済成長も」「人や国の不平等をなくそう」などの目標があります。就労継続支援A型・B型における仕事づくりや、企業からの作業受注、地域資源の活用なども、内容によってこれらの目標と関係します。
ただし、福祉事業所が行うすべての活動を、そのままSDGsの成果と呼べるわけではありません。何を行い、誰にどのような価値が生まれたのか、実際の活動と結果を確認することが大切です。
この記事では、障がい者雇用と社会貢献の関係、関連するSDGs目標、職場で考えられる具体例、企業との連携方法を整理します。大阪市で就労支援を考える方や、福祉事業所との協働を検討する企業にも役立つ内容です。
この記事で分かること
- 障がい者就労支援とSDGsが結びつく理由
- 目標8・10・11・12・17と実際の仕事との関係
- リサイクル、食品製造、軽作業などの取り組み例
- A型・B型の役割と企業が連携する際の確認事項
- 無理なく続く仕事づくりと成果の確かめ方
目次
1.障がい者就労支援とSDGsの関係
SDGsは、2015年に国連で採択された2030年までの国際目標です。17の目標が掲げられ、その基本理念には「誰一人取り残さない」という考え方があります。障がいのある方が能力や希望に応じて働ける環境を整えることも、この理念に関係しています。
1-1.働く機会と社会参加を考える
働くことには、収入を得ることに加え、生活の中に役割や人とのつながりを持つ側面があります。製品の袋詰めや検品に携わった人が、自分の担当した商品が店頭に並ぶことを知れば、作業の意味を実感するきっかけになるかもしれません。
一方で、本人が望まない仕事を「社会貢献だから」と押しつけることは適切ではありません。何をしたいか、どのくらい働きたいか、どんな配慮が必要かを確認し、本人の意思を中心に考える必要があります。
1-2.SDGsは活動の成果を見る視点
SDGsの目標を掲げるだけでは、支援の質が高いことの証明にはなりません。例えば、リユース作業を始めたとしても、安全な作業環境が確保されていなかったり、工賃や給与との関係が不明確だったりすれば改善が必要です。
地域の課題に役立つ仕事か、利用者の技能を伸ばせるか、継続した受注が見込めるか。こうした視点を組み合わせ、福祉と事業活動の両方を振り返ることが重要です。
最初に押さえたい考え方
SDGsは活動を飾る言葉ではなく、「働きやすさ」「地域への役立ち方」「資源の使い方」を具体的に確認するための視点です。
2.障がい者雇用が社会貢献になる理由
障がい者雇用や就労支援は、仕事に参加する機会を広げ、地域の製品やサービスを支えることで社会貢献につながり得ます。ただし、雇用人数を増やすことだけが目的ではありません。本人の希望を尊重し、働き続けられる環境を整えることが前提です。
2-1.仕事の成果が地域へ届く
食品の包装、商品の検品、発送準備、清掃、店舗補助などは、一つひとつの工程がほかの仕事につながっています。例えば、納品前の商品に傷がないか確認する作業は、取引先が安心して販売するための重要な工程です。
地域企業がこうした仕事を福祉事業所へ発注すれば、受注機会が生まれます。企業にとっても、作業工程を整理し、必要な品質や納期を共有するきっかけになります。継続するには、価格だけでなく品質、安全性、納期も対等に話し合うことが必要です。
2-2.働きがいと適切な対価を両立
「人の役に立つ仕事」をしていても、本人に過度な負担がかかれば持続可能とはいえません。作業時間、休憩、道具の使いやすさ、支払われる給与や工賃など、働く条件を合わせて確認します。
成果の伝え方も大切です。「頑張りました」だけではなく、「検品のチェック漏れが減った」「決めた時間に準備できた」など、本人が納得できる具体的な変化を伝えると、次の目標を考えやすくなります。
企業側にとっての効果も同様で、障がい者雇用を行えば必ず生産性や社会的評価が上がるというものではありません。業務設計や職場の理解、適切な配慮を継続することが重要です。
3.就労支援と関係するSDGsの目標
障がい者就労支援に関わりが深いSDGsの目標を、仕事の場面と結びつけて整理します。次の表は一般的な関連例であり、記載した活動のすべてを「だいこん畑」が実施しているという意味ではありません。
| SDGs目標 | 就労支援との関係 | 取り組み例 |
|---|---|---|
| 目標8 働きがいも経済成長も | 働く機会と適切な条件 | 作業機会の提供、技能習得、仕事の見直し |
| 目標10 人や国の不平等をなくそう | 参加機会と配慮 | 本人に合う作業手順、相談方法の工夫 |
| 目標11 住み続けられるまちづくりを | 地域との関係づくり | 地域商品の製造補助、販売への参加 |
| 目標12 つくる責任つかう責任 | 資源や材料の有効活用 | 過剰包装の見直し、再利用可能な資材の活用 |
| 目標17 パートナーシップで目標を達成しよう | 企業・福祉・行政の協働 | 企業からの仕事の受注、共同企画 |
一つの活動が複数の目標と関係することもあります。例えば、地域企業と協力して包装材を減らす取り組みは、資源の有効利用とパートナーシップの両面から考えられます。大切なのは目標の数を増やすことではなく、活動内容が実際に変わっているかを確かめることです。
SDGsの目標は事業所の経営方針を整理する際にも役立ちます。職員会議などで「資材の無駄を減らせるか」「利用者が意見を伝えやすいか」と問い直すと、日常業務の改善点を見つけやすくなります。
4.就労支援で取り組めるSDGsの事例
SDGsに関連する活動は、特別なイベントだけではありません。日々の仕事の進め方を見直すことでも、地域や環境に配慮した取り組みを考えられます。ここでは就労支援で検討できる一般的な例を紹介します。
4-1.リサイクルとアップサイクル
リサイクルは、使用済みの資源を再び原料などとして利用することです。アップサイクルは、不要になったものに工夫を加えて、別の価値を持つ製品へ作り替えることを指します。古布から小物を制作する、使用可能な資材を分類するなどが考えられます。
ただし、回収品には汚れや危険物が混じる可能性があります。作業内容を選ぶ際には、洗浄や保管の方法、衛生管理、けがの防止、販売可能な品質の確保を先に検討します。素材を集めること自体が目的にならないよう、販路と経費も確認しましょう。
4-2.食品製造や軽作業での工夫
食品製造や商品の袋詰めでは、材料の計量ミスを減らす、包装資材の使用量を見直す、発注数に合わせた製造を行うといった改善が考えられます。食品を扱う場合は、廃棄物削減よりも衛生と安全が優先されます。
軽作業でも、検品手順を分かりやすくして不良品を減らす、部材を種類ごとに整理して余分な使用を防ぐなどの工夫ができます。作業しやすさと無駄の削減を同時に検討することがポイントです。
4-3.地域の企業や住民との協働
商店や企業の依頼による封入・梱包、地域商品の販売補助、イベントでの製品紹介などは、地域の経済活動に参加する方法の一つです。地域清掃や啓発イベントなども考えられますが、参加にあたっては本人の希望や体調、移動時の安全を確認する必要があります。
地域連携を一度きりで終わらせず、依頼内容や作業量を定期的に見直すことが大切です。取引先には、福祉的な意義だけでなく、依頼できる作業範囲や品質管理の方法を具体的に伝えると、継続した協働につながりやすくなります。
取り組み例と実施実績は区別
ここで挙げたリサイクル、地域清掃、アップサイクルなどは就労支援全般の活動例です。事業所ごとの実施内容は、見学や公式案内で個別にご確認ください。
5.A型・B型事業所が担う社会的役割
就労継続支援A型とB型はいずれも障がいのある方の就労を支えるサービスですが、雇用契約と受け取るお金の扱いが異なります。制度の違いを理解することで、SDGsに関連する取り組みを考える際も、本人に合った働き方を選びやすくなります。
5-1.A型は雇用契約による働き方
就労継続支援A型は、一般企業での就労が難しい方のうち、雇用契約に基づく勤務が可能な方などを対象とするサービスです。原則として雇用契約を結び、労働関係法令に基づく賃金が支払われます。
企業から受注した仕事などに取り組む際は、求められる品質や納期を確認しながら、本人に合った役割を考えます。福祉の支援を受けながら働くことと、労働者としての権利を守ることを両立させる必要があります。
5-2.B型は無理のない作業参加を支援
就労継続支援B型は、原則として雇用契約を結ばず、体調や状況に応じて生産活動などに参加するサービスです。作業の成果に応じた工賃が支払われます。
同じ包装作業であっても、短い時間から始める人、道具や手順を工夫して参加する人など、取り組み方はさまざまです。作業の売上を増やすことだけではなく、本人の希望と安全に配慮しながら、安定した参加を支える視点が欠かせません。
どちらが適しているかは、障がい名だけで決まるものではありません。勤務条件、通所方法、本人の希望などを整理し、必要に応じて相談支援専門員や自治体へ相談します。詳しくは福祉サービスの比較ページも参考にしてください。
6.企業と福祉事業所が連携する方法
企業が就労支援事業所と連携する際には、福祉的な目的と取引上の条件を両方明確にすることが大切です。無理のない仕事の分担を考え、長く続く協働を目指します。
6-1.発注しやすい仕事を整理する
まず、企業の業務を工程ごとに分けます。例えば「商品発送」という仕事でも、資材の準備、ラベル貼り、数量確認、封入、箱詰めなどに分けられます。必要な技能や使用する道具、検品の方法を明確にすると、事業所側も受注の可否を判断しやすくなります。
見積もり時には、数量、納期、材料の支給方法、不良品の扱い、配送方法などを確認します。作業量が急に変わる場合は、早めに相談できる連絡先も決めておきましょう。
6-2.社会貢献と取引品質を両立する
「福祉事業所だから安く頼める」という考え方では、持続可能な取引は難しくなります。作業時間や設備、検品にかかる費用を踏まえ、適切な単価を設定することが重要です。受注側も、期限を守れる量だけを引き受け、安全に作業できる手順を整えます。
企業が成果を紹介する際は、実際に行った共同作業と確認できる成果に限って発信します。利用者個人の写真や体験談などを紹介する場合は、本人の意思とプライバシーに十分配慮し、必要な同意を得ます。
地域企業との連携先を探す際には、だいこん畑の事業所一覧で事業所の場所を確認し、具体的な作業の相談はお問い合わせから内容を伝える方法があります。実施可能な業務や受注状況は個別に確認してください。
例えば初めて業務を発注する企業なら、まず少量の試作やテスト作業を依頼し、完成品の見本を共有する進め方が考えられます。最初から大量の注文を出すより、実際にかかった時間や作業中の課題を確かめ、必要に応じて道具や手順、納期を調整した方が無理なく続けやすくなります。
受注した事業所では、作業前の説明担当、完成品の確認担当、企業への連絡担当を決めておくと、伝達漏れを減らせます。利用者が同じ内容を何度も尋ねなくてもよいよう、写真入りの完成見本や数量のチェック表を用意することも有効です。
なお、企業との協働を広報する場合、障がい者の方を単に「支援される存在」として描かない配慮も大切です。どの工程を担い、どのような品質の仕事につながったかを具体的に伝えることで、仕事の価値を正確に紹介できます。
7.持続可能な就労支援を進める工夫
環境や地域に役立つ活動であっても、事業所の運営が不安定になったり、利用者や職員へ無理がかかったりすれば長続きしません。継続できる体制を考えることもSDGsの一部です。
7-1.本人の希望と負担を確認する
新しい仕事を始めるときは、本人が参加を希望しているか、作業手順を理解できるか、必要な配慮は何かを確認します。得意な工程がある方にはその強みを活かせる役割を用意し、初めての作業には見本や短い手順書を使うなどの方法があります。
作業ができるようになったかだけでなく、疲労や不安が強くなっていないかにも目を向けます。通所日数や作業量が増えることを一律の成功とせず、本人の目標に沿って評価することが大切です。
7-2.数字と本人の声で成果を見る
活動を振り返る際は、売上や受注件数のほか、作業ミス、材料の廃棄量、納期を守れた割合など、仕事の内容に合う項目を選びます。一方で、本人の達成感や働きやすさは数字だけでは分かりません。
面談で「どの作業がやりやすかったか」「次に試したいことはあるか」と尋ね、個別支援計画や職員間の情報共有に反映します。数値の改善と本人の納得を合わせて見ることで、表面的な成果づくりを避けられます。
また、新しい活動を増やす前に、既存の作業を安全に続けられているか確認します。設備や職員配置、材料費、売上の見通しを検討したうえで、小さな試行から始めると、失敗時の負担を抑えやすくなります。
事業所で共有したい確認事項
①本人が希望しているか ②安全に取り組めるか ③適切な給与・工賃につながるか ④企業や地域の役に立つか ⑤無理なく継続できるか。この5点を一緒に確認しましょう。
成果の公表でも、数字の扱いには注意が必要です。例えば資材使用量が減ったという説明をする場合は、比較した期間と作業数量をそろえる必要があります。受注量が減っただけで廃棄物が少なくなった場合、それを業務改善の成果と表現するのは適切ではありません。
活動を紹介する際には、「いつ、どこで、どのような作業を行ったか」「どのように測ったか」を記録し、分かる範囲で説明すると信頼性が高まります。達成できなかった点も次の改善につなげる姿勢が、継続したSDGsへの取り組みには欠かせません。
8.障がい者就労支援とSDGsのFAQ
障がい者就労支援とSDGsについて、事業所を探している方や企業からよく尋ねられる内容を整理します。
Q.就労支援はSDGsのどの目標に関係しますか?
A.特に目標8と目標10に関係します。仕事内容によっては、地域づくりの目標11、資源利用の目標12、協働の目標17ともつながります。実際の活動内容に応じて考えることが重要です。
Q.障がい者雇用は、それだけで社会貢献になりますか?
A.働く機会を広げる意義はありますが、人数だけでは十分ではありません。本人の希望、合理的配慮、適切な条件、働き続けられる環境まで含めて考える必要があります。
Q.B型事業所ではどのような仕事ができますか?
A.軽作業、食品関係、製品づくり、清掃など、事業所によって内容は異なります。希望する仕事があるか、体調に合わせて参加できるかは見学時に確認してください。
Q.リサイクル活動は必ず実施していますか?
A.いいえ。リサイクルやアップサイクルを行っていない事業所もあります。事業所ごとに作業内容が異なるため、実施状況を個別に確認する必要があります。
Q.企業はどのように福祉事業所と連携できますか?
A.封入、検品、包装などの業務発注や共同企画が考えられます。数量、納期、品質、料金、安全面などを事前に共有し、双方が継続できる条件を検討することが大切です。
まとめ
障がい者就労支援とSDGsのつながりは、特別な活動だけにあるわけではありません。日々の作業の中で、本人の働きやすさを整え、地域で必要とされる仕事に参加し、資源や材料の使い方を見直すことも大切な取り組みです。
就労継続支援A型・B型は、本人の希望や状態に応じた働き方を支える役割を持ちます。企業や地域との連携では、福祉的な意義と仕事としての品質・対価の両方を大切にすることが、持続可能な協働につながります。
- SDGs目標と日常の就労支援の関係を具体的に捉える
- 一般的な活動例と各事業所の実施実績を混同しない
- 利用者の希望、安全、適切な対価を大切にする
- 企業との協働では品質や納期、費用を確認する
大阪市内で働く場所を探している方は、作業内容や通所方法を確かめながら、自分に合う事業所を検討してみてください。
大阪市で就労継続支援事業所をお探しの方へ
自分に合う働き方を、だいこん畑で一緒に考えませんか?
仕事内容や働き方について知りたい方は、利用を決める前の段階でも見学・相談をご検討ください。事業所によって実施する作業や利用条件は異なります。