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福祉支援の基本姿勢を学ぶ「バイスティックの7原則」

福祉支援の基本姿勢を初心者向けにやさしく解説。

1.大項目①:バイスティックの7原則とは何か

バイスティックの7原則(一覧)

① 個別化(Individualization)
② 意図的な感情表出の許容(Purposeful Expression of Feelings)
③ 統制された情緒的関与(Controlled Emotional Involvement)
④ 受容(Acceptance)
⑤ 非審判的態度(Non-judgmental Attitude)
⑥ 自己決定の尊重(Client Self-Determination)
⑦秘密保持(Confidentiality)

1-1.バイスティックとはどんな人物?

バイスティック(Felix Biestek)は、アメリカのソーシャルワーク研究者であり、1950年代に「援助関係における倫理的態度」を体系化した人物として知られています。彼は、利用者との信頼関係を築くうえで支援者が持つべき姿勢を7つの原則としてまとめました。これが「バイスティックの7原則」です。バイスティックは、支援者が専門職として倫理観を持ち、相手を尊重することの重要性を強調しました。彼の提唱した原則は、当時のソーシャルワーク実践に大きな影響を与え、今もなお福祉や心理、教育などの対人援助の分野で広く受け継がれています。

1-2.7原則が生まれた背景と目的

バイスティックの7原則は、支援者と利用者の間に信頼関係を築くことの重要性が高まっていた1950年代のアメリカで生まれました。当時、福祉サービスの対象が拡大する中で、支援の質を高めるために「どのように人と関わるべきか」という問いが重要視されていました。バイスティックは、その問いに対し、単なる技術や知識ではなく、支援者の「態度」や「関わり方」に焦点を当て、7つの原則を導き出しました。その目的は、支援者が個人を尊重し、感情を受け入れ、偏見なく向き合うことで、利用者自身の力を引き出す援助を実現することです。これは今なお、支援職に携わる人々にとって普遍的な指針となっています。

1-3.福祉現場でなぜ大切とされるのか

福祉の現場では、多様な背景や悩みを持つ利用者と関わる場面が日常的にあります。そんな中、支援者が偏見なく相手を受け入れ、適切な距離感と信頼関係を築けるかどうかが支援の質を左右します。バイスティックの7原則は、支援者が「どうあるべきか」を示す道しるべとなり、特に福祉職初心者にとっては安心して関われる土台となります。原則を意識することで、利用者に安心感を与え、主体的な行動を引き出すことができます。また、チーム支援においても共通認識を持つための基盤となり、支援の一貫性や質の向上にもつながります。福祉実践の中核を成す考え方として、今も多くの現場で重視されています。

2.7原則それぞれの意味と具体例

2-1.利用者理解に必要な「個別化」と「受容」

「個別化」とは、利用者一人ひとりの状況や価値観、背景に応じた対応をすることを意味します。たとえば、同じ「就職したい」という希望を持っていても、年齢、過去の経験、障害の有無などによってニーズは異なります。画一的な支援ではなく、その人自身の物語を大切にすることが信頼の第一歩です。一方「受容」は、相手の感情や考え方を否定せず、そのまま受け止める姿勢を指します。ネガティブな感情を吐き出されたときに、「そんなふうに思ってもいいんだよ」と受け入れることが、相手の安心感につながります。両者は、相手を深く理解するための出発点となる重要な原則です。

2-2.信頼を築く「感情表出の許容」と「非審判的態度」

「感情表出の許容」とは、利用者が自分の気持ちを自由に話せるように、安心できる雰囲気を支援者がつくることです。特に初めての相談場面では、緊張や不安を感じていることが多いため、「どんな感情も大丈夫」という受け止め方が大切です。たとえば、怒りや涙に対して「そんなこと言わないで」と否定してしまうと、心を閉ざしてしまいます。もう一つの「非審判的態度」は、相手の行動や価値観を良し悪しで判断せずに接することです。たとえば過去の失敗に対しても、「そういう経験があったんですね」と受け止めることで、相手は自分を責めずに語ることができます。これらの姿勢が、信頼関係の土台を築きます。

2-3.支援者としての姿勢「統制された関与」など

「統制された情緒的関与」は、支援者が感情的になりすぎず、冷静に関わることを意味します。利用者に共感することは大切ですが、感情移入しすぎると判断を誤る原因になります。たとえば、辛い話を聞いて泣いてしまったり、怒りを一緒に感じてしまうと、支援者としての役割を果たせなくなります。「自己決定の尊重」は、利用者が自分の人生を自分で選べるよう支援する考え方です。たとえ時間がかかっても、本人の意思を尊重することが長い目で見ての成長につながります。「秘密保持」は、相談内容や個人情報を守ることで、安心して話せる環境を整える基本です。これらは、支援者の信頼性と倫理観を示す重要なポイントです。

3.初心者が実践するためのポイント

3-1.7原則を日々の支援にどう活かす?

バイスティックの7原則は、支援者が日常の業務の中で何を意識すべきかを示す実践的な指針です。まず意識したいのは「相手の話を最後まで聴く姿勢」です。言葉だけでなく、その背景や沈黙にも耳を傾けることが大切です。そして、利用者が自ら選ぶ力を信じ、支援者が先回りして決めつけないこともポイントです。また、支援のあとに自分の関わり方を振り返る「内省」や、チームで意見交換する「ケース検討」も有効です。これらを積み重ねることで、原則が知識から実践へと定着していきます。最初は難しく感じるかもしれませんが、小さな意識の積み重ねが、信頼される支援者への第一歩となります。

3-2.現場で気をつけたい落とし穴

現場では、善意からの行動がかえって利用者の自立を妨げてしまうことがあります。たとえば、「手伝いすぎてしまう」「本人の意見より支援者の考えを優先する」といった行動は、一見親切でも、利用者の自己決定の機会を奪ってしまいます。また、利用者の感情に巻き込まれて冷静さを失ったり、反対に距離を取りすぎて関係が薄くなるケースも見られます。さらに、支援が忙しくなり「効率優先」になりすぎると、一人ひとりへの配慮が不足してしまいます。こうした落とし穴に気づき、自分の関わり方を常に見直すことが、よりよい支援を継続するうえで不可欠です。

3-3.先輩から学ぶ実践的な取り組み方

初心者にとって、経験豊富な先輩の姿勢や関わり方から学ぶことは非常に有意義です。例えば、面談中の相づちの打ち方や、沈黙をどのように受け止めるかといった細かな対応は、実際に見ることで身につきやすくなります。また、先輩との振り返りを通じて、自分では気づかなかった対応のクセや改善点を発見することもできます。ケース会議やミーティングでは、他の支援者の視点からのフィードバックを得られる機会も多く、支援の幅を広げるヒントが詰まっています。何より大切なのは、「一人で抱え込まない」こと。仲間と協力しながら支援にあたることで、安心して原則を実践できるようになります。

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