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ひきこもりとニートの境界線は?支援の方法や現状も紹介

「ひきこもりとニートは何が違うの?」「仕事をしていない期間が長いと、どちらに該当するの?」「家族としてどう対応すれば良いの?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

ひきこもりとニートは同じ意味で使われることがありますが、実際には異なる概念です。ニートは主に就業・就学などの状態に着目した言葉で、ひきこもりは社会的な参加や他者との関わり、生活の状態などを含めて考えられています。

また、ひきこもりやニート状態になる背景は一人ひとり異なります。不登校、就職活動の失敗、職場の人間関係、病気、精神的な負担、家庭環境など、複数の事情が関連している場合もあります。

このコラムでは、ひきこもりとニートの違いや現在の状況、長期化した際に考えられる問題、本人・家族が利用できる専門機関、職業訓練や就労支援について具体的に紹介します。

この記事で分かること

  • ひきこもりとニートの違い
  • ニート・ひきこもり・フリーターの違い
  • 35歳を過ぎた後の考え方や支援
  • 長期化する背景や家族ができる対応
  • 地域の相談機関や職業訓練などの支援
  • 一般就労が難しい場合の就労支援

1.ひきこもりとニートの違い

結論からいうと、ニートとひきこもりは別の概念です。

ニートは主に就業・就学などの状態に着目した言葉です。一方、ひきこもりは仕事や学校だけではなく、社会参加や他者との交遊、生活の状態などを含めて考えます。

そのため、仕事をしていない人すべてがひきこもりというわけではありません。仕事をしていなくても友人と会ったり、趣味で頻繁に外出したりしている人もいます。

反対に、在宅で何らかの活動をしていても、社会との関係に強い困難を感じているケースもあります。

大切なのは、「ニートか、ひきこもりか」という言葉だけで本人を評価・判断しないことです。今どのようなことに困っているのか、どのような支援を本人自身が希望しているのかを見る必要があります。

1-1.ニート・ひきこもり・フリーターを比較

ニートという言葉は、英語のNEETに由来します。NEETは「not in education, employment or training」の頭文字から作られた言葉で、教育、雇用、職業訓練のいずれにも参加していない状態を表します。インターネット上では「NEET」以外に「neet」と検索されることもあります。

日本では、統計上「若年無業者」という表現が使われることがあります。一般的には、15~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない人などを把握する際に用いられています。

一方、フリーターはアルバイトやパート等で実際に就業しているため、基本的にはニートとは異なります。

ひきこもりについては、従来のガイドラインなどで、就学や就労、家庭外での交遊などの社会参加を避け、概ね6ヶ月以上にわたって家庭を中心とした生活が継続している状態などが一つの目安として示されてきました。

ただし、ひきこもり=「自宅から一歩も出ない人」という意味ではありません。

  • コンビニや買い物には行ける
  • 病院には通える
  • 一人なら外出できる
  • 趣味の場所には行ける
  • 家族とは話せる
  • sns(SNS)上では他者と交流できる
  • 学校や職場へ行くことは難しい

このような人もいます。つまり、「外出できるorできない」という二択だけでは判断できません。

ポイント

ニートは主に就学・就業等の状態を表す言葉、ひきこもりは社会参加や生活状態を含めて考える言葉です。両方に該当する可能性もありますが、同じ意味ではありません。

1-2.35歳を過ぎるとニートではない?

「35歳になるとニートではなくなるのですか?」という疑問を持つ人もいます。

若年無業者を把握する統計では15~34歳という年代区分が使われることがあります。そのため、35歳以上になると、その統計上の区分から外れる場合があります。

しかし、35歳になった後に本人の悩みがなくなるわけでも、支援がすべて受けられなくなるわけでもありません。

例えば、地域若者サポートステーション、いわゆるサポステは、現在15歳から49歳までの働くことに悩みを抱える人を対象としています。

つまり、「35歳未満なら対象、35歳以上なら対象以外」と単純に判断することはできません。それぞれの制度や機関によって対象年齢や条件が異なるため、利用する際には事前に確認しましょう。

また、ひきこもりは若者だけの問題ではありません。中高年を含む大人にもみられます。年齢を問わず相談できる地域の機関もあるため、「自分はもう遅い」と決めつける必要はありません。

2.ひきこもり・ニートになる背景

ひきこもりやニート状態になる理由について、「本人にやる気がないから」「甘えているから」と考えられることがあります。

しかし実際には、一つの原因だけで説明できるわけではありません。

学校、仕事、人間関係、家庭環境、体調、精神面など、これら複数の要因が関連している場合があります。本人自身も、なぜ動くことが難しくなったのか整理できていないケースがあります。

2-1.学校・仕事・人間関係が影響する場合

ひきこもり状態になる背景の一つとして、学校や職場での経験が関連することがあります。

  • 不登校を経験した
  • 学校でいじめを受けた
  • 就職活動がうまくいかなかった
  • 職場の人間関係で悩んだ
  • 仕事で強く叱責された
  • 人とのコミュニケーションが苦手だった
  • 雇用環境が自分に合わなかった

こうした経験の後、「また失敗するかもしれない」「自分には働く力がない」「人と関わるのが怖い」と感じることがあります。

周囲から見ると何もしていないように見えても、本人の心の中では強い不安や葛藤が続いていることがあります。その状態で「とにかく外へ出れば良い」と求めても、かえって負担が高くなる可能性があります。

また、背景に心身の病気や精神面の不調が含まれている場合もあります。睡眠の乱れ、強い不安、気分の落ち込み等が続く際には、医療機関など専門的な相談先を検討することもあります。

カウンセリングが本人に合うこともありますが、全員に同じ支援方法が必要というわけではありません。一人ひとりの状態に合わせることが大切です。

2-2.家族との関係が影響する場合

家族との関係が本人の状態に影響しているケースもあります。

ただし、「親の育て方が原因」「家庭だけに問題がある」と単純に判断することには注意が必要です。

家族としては将来が心配なため、「早く働いた方が良い」「いつまでこの生活を続けるの?」「同年代の人は働いている」と言いたくなることがあります。

ところが、当事者自身も「このままではいけない」と知っていることがあります。それでも動けない状態で繰り返し就職を求められると、自己評価がさらに低くなってしまう可能性があります。

反対に、心配のあまり家族がすべてを先回りすることもあります。しかし、自分で考える、選ぶ、失敗した後にやり直す、助けを求めるという経験も、その先の社会参加につながる力になります。

本人に任せる部分と家族が支える部分を、本人の状態に合わせて考えていくことが大切です。

3.長期化すると何が起こる?

ひきこもり状態が長期間続くと、社会との距離がさらに広がり、外へ出ることや人と会うことへの心理的なハードルが高くなる場合があります。

また、本人だけでなく家族も年齢を重ねます。中高年のひきこもりでは、親の高齢化や介護、収入の減少などが重なり、家庭全体の負担が大きくなることもあります。

そのため、今すぐ就職することだけを目指すのではなく、家族も含めて早めに相談先を知っておくことには意味があります。

3-1.社会との距離が広がる可能性

長く社会との接点が少ない生活を続けていると、「会話の仕方が分からない」「電車に乗るだけでも緊張する」「新しい場所へ行くことが難しく感じる」といった変化が生じる場合があります。

仕事をしていない期間が長くなるほど、「履歴書の空白期間をどう説明すればよいのか」「一般企業に就職できないのではないか」と不安が高くなることもあります。

インターネットでは「ニート 末路」「ひきこもり 末路」といった言葉も検索されています。しかし、検索結果に掲載されている将来像が、その人自身の未来になるわけではありません。

長期間ひきこもった後に相談機関につながる人もいます。地域の居場所に参加する人、職業訓練を利用する人、福祉サービスを利用する人、就職を目指す人もいます。

どちらの道が正解というものではありません。本人の今の状態や希望に合わせて、次の一歩を探すことが重要です。

4.社会参加へ向けて利用できる支援

ひきこもりやニート状態から社会参加を目指す際に、最初の目標を「就職」にする必要はありません。

本人によっては、決まった時間に起きる、家族以外の人と話す、短時間外出する、相談機関へ行くといったことが最初の目標になる場合があります。

現在のひきこもり支援では、周囲が一つのゴールを押し付けるのではなく、本人の意思や希望を尊重しながら支援する考え方が重視されています。

4-1.相談機関・サポステ・職業訓練

地域には、自治体によるひきこもり相談、ひきこもり地域支援センター、生活困窮者向けの相談、就労支援など、さまざまな機関があります。

本人が相談へ行くことが難しい場合でも、家族だけで相談できるところがあります。

また、働くことについて悩んでいる15歳から49歳までの人には、地域若者サポートステーション、通称「サポステ」という選択肢があります。

サポステは全国の都道府県に設置され、相談、コミュニケーションに関する支援、就業体験などを提供しています。

ある程度、就職へ向けた準備ができている場合には、ハローワークや職業訓練を利用する方法もあります。職業訓練にはパソコン、事務、介護、IT等、さまざまな内容があります。

ただし、まだ外出や人との関わり自体が難しい人に対して、いきなり職業訓練や就職活動を求める必要はありません。

まず相談する、生活を整える、人と話すといった段階から始めることも可能です。

支援先を探す際のポイント

厚生労働省や自治体などが公開している支援ガイドや、公的機関が提供している知識を参照すると安心です。制度の対象、費用、提供内容は地域や機関によって異なるため、利用前に最新情報を確認してください。

ひきこもりについて「約6ヶ月」という期間が示されることがありますが、これはあくまで一つの目安です。6ヶ月未満だから相談できない、あるいは6ヶ月を超えたから必ずひきこもりに該当するという意味ではありません。

本人の生活状況、社会との関わり、心身の状態などを総合的に見ることが、現在の支援の基本的な考え方の一つといえるでしょう。

5.一般就労が難しい場合の選択肢

「働く=すぐ一般企業へ就職する」と考える必要はありません。

障害や体調、精神面などの状況によっては、福祉サービスを利用しながら働く経験を積める可能性があります。

就労系の障害福祉サービスには複数の種類があり、対象者、利用条件、雇用契約の有無などが異なります。

それぞれの違いについては、福祉サービスについて|自分に合う働き方を比較もご覧ください。

5-1.就労継続支援B型という選択肢

障害や体調等の理由によって、一般企業で働くことが現在は難しい人は、一定の要件を満たす場合、就労継続支援B型を利用できる可能性があります。

B型では雇用契約を結ばず、本人の体調や生活リズムなどに合わせて作業へ参加します。

  • 毎日通うことに不安がある
  • 長時間働くことが難しい
  • まず生活リズムを整えたい
  • 人との関わりに少しずつ慣れたい
  • 自分に合う作業を探したい
  • 将来の一般就労を目指すために経験を積みたい

といった人にとって、一つの選択肢になる場合があります。

ただし、ひきこもりやニート状態であること自体を理由に、誰でもB型を利用できるわけではありません。

対象になるかどうかは、本人の障害や状態、自治体による支給決定等によって異なります。

詳しい内容は、就労継続支援B型についてをご確認ください。

利用までの流れについては、利用・応募までの流れでも紹介しています。

また、本人の状態や事業所、自治体の取り扱い等によっては、在宅による支援を検討できる場合もあります。具体的な提供方法や条件については、利用を検討する事業所や関係機関へ確認してください。

5-2.小さな社会参加から始める

「社会復帰」という言葉を聞くと、正社員になる、週5日働く、一人暮らしをするといった姿を思い浮かべるかもしれません。

しかし、社会参加の形は一つではありません。

  • 誰かと挨拶する
  • 家族以外の人と話す
  • 趣味の活動に参加する
  • 相談機関へ行く
  • 週に一度外へ出る
  • 短時間だけ作業する

こうした行動も社会との接点です。

本人が前向きになれる速度は一人ひとり違います。周囲から見ると小さくても、当事者にとっては大きな一歩になっていることがあります。

他者と比較するのではなく、「以前より少しできることが増えた」「今日は相談できた」と本人が感じられる経験を積み重ねることが、その先につながる場合があります。

6.ひきこもり・ニートのよくある質問

ニートは病気なのでしょうか?

ニート自体は病名ではありません。主に就学、就業、職業訓練などへの参加状態を表す概念です。

ひきこもり自体も、それだけで一つの病気を意味するものではありません。ただし、背景に心身の病気や強い不安などが関連する場合があります。

趣味で外出できればひきこもりではない?

趣味で外出できることだけを理由に、「ひきこもりではない」と判断することはできません。

一人で買い物には行けても、学校や職場など人間関係を伴う場所へ行くことが難しい人もいます。外出の有無だけではなく、本人の困りごとや社会参加の状態を合わせて考える必要があります。

何ヶ月続いたら相談すべきですか?

従来のガイドラインでは概ね6ヶ月以上という考え方が示されてきましたが、6ヶ月を待たなければ相談できないわけではありません。

本人や家族が困っているのであれば、期間にかかわらず相談して構いません。早く相談すること自体が悪いということはありません。

35歳以上でも支援を受けられますか?

受けられる支援があります。例えばサポステは15歳から49歳までを対象としています。

ほかにも自治体のひきこもり相談や生活支援など、年齢基準の異なる制度があります。年齢が高いから対象外だろうと自己判断せず、相談先へ確認してみましょう。

家族は何をすれば良いですか?

「早く働いて」と急かすだけが支援ではありません。

「最近どう?」「困っていることはある?」と本人が話せる余地をつくることも一つの対応です。

本人が相談に行けなくても、家族だけで相談できる機関があります。家族自身が疲れ切ってしまう前に、専門機関へ相談することも検討してください。

まとめ|本人に合った一歩から始める

ひきこもりとニートは似た意味で使われることがありますが、同じものではありません。

  • ニートは主に就学・就業・職業訓練などへの参加状況に着目した言葉
  • ひきこもりは社会参加や他者との関係、生活状態などを含めて考える
  • 35歳を超えても利用できる相談・就労支援がある
  • 本人の状態によっては一般就労以外の選択肢もある
  • 家族だけで抱え込まず、地域や専門機関へ相談できる

ひきこもりやニート状態になる背景には、不登校、就職活動の失敗、職場での人間関係、心身の不調、家庭環境などさまざまな事情があります。

そのため、「怠けている」「本人の努力不足」と決めつけても解決にはつながりません。

また、「社会復帰=すぐに一般就労」と考える必要もありません。

相談する、生活リズムを整える、家族以外の人と話す、外出する、地域の居場所へ行く、短時間の活動へ参加するなど、本人に合った段階から始める方法があります。

そのうえで、一般就労を希望する場合にはサポステやハローワーク、職業訓練などを利用する方法があります。

一方、障害や体調等によって一般就労が現在は難しい場合には、条件に該当すれば就労継続支援B型などの福祉サービスを検討できることもあります。

大切なのは、周囲がゴールを決めるのではなく、本人の状態や希望に合わせて「今できる一歩」を一緒に考えることです。

「今の状態でも利用できるのか知っておきたい」「どの支援が自分に合うのか確認したい」という段階から相談することもできます。

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